長崎平和祈念式典「出欠席国」でわかった国際社会の「最新パワーバランス」!

 8月9日、長崎で原爆の日に合わせて平和祈念式典が行われたが、G7各国の大使が相次いで欠席し、領事や総領事が代理出席するという異例の事態となった。

 この背景には、長崎市がイスラエルを式典に招待しなかったことがあると言われている。米国のエマニュエル駐日大使は、「原爆で亡くなった方々を悼む目的の式典を政治問題化するべきではない」と言及し、カナダなど他のG7諸国も、イスラエルを招待しないのは、同国をロシアやベラルーシと同様に扱うものだと不快感を露にしている。

「ロシアが自らウクライナへ侵攻したのに対し、イスラエルはハマス側による攻撃が発端となって戦闘を開始したという経緯もあり、両国を単純に同一視はできないでしょう。しかし、イスラエルによる攻撃でパレスチナ側の死亡者数は実に4万人に上っており、民間人の犠牲者も多数出ています。国際社会から批判の声が上がっているのも周知の通りです」(国際部記者)

 イスラエルとロシアを別物と捉える欧米側を「ダブルスタンダード」だと非難する諸外国の声も少なくない。そして、この長崎の一件は、これまでのような欧米の影響力が、国際社会で低下していることの証左だと見る専門家もいるのだ。

「イスラエルの招待が見送られた長崎での式典でも、欠席を表明したのはG7各国のみで、他の諸外国の大使は出席しています。こうしたことから、欧米の影響力が衰退していると指摘されているのです」(前出・記者)

 国際社会のパワーバランスの現状が、図らずも平和を願う式典で露呈してしまったということか。

(北島豊)

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