アメリカ民主党のジョー・バイデン大統領が大統領選からの撤退を表明した。7月21日にXに声明を投稿し、24日には大統領執務室から「民主主義を守ることは肩書きよりも重要」と演説した。米メディア関係者はこう解説する。
「再選を目指していたバイデン氏が撤退したことには驚きだ。支持率の低下や党内からの批判もあるが、気力や健康的にも厳しいということだろう。『新しい世代にバトンを渡す』としてハリス副大統領を後継候補に指名した」
ハリス副大統領とは、どういう経歴か。
1964年生まれの59歳。元検事で父はジャマイカ出身、母はインド出身であるため初の黒人系、初のアジア系の副大統領として注目を集めていた。今回、民主党が8月の党大会で正式にハリス副大統領が大統領候補に決まれば、トランプ氏がヒラリー・クリントンと争った2016年の大統領選以来の女性候補対トランプ氏の構図となる。問題は、ハリス氏に勝ち目はあるのか、だ。
「ハリス氏をバイデン大統領が後継指名したとなればバイデン陣営が集めた選挙資金や政策を引き継げる。またバイデン氏より20歳以上若い。そのため逆にトランプ氏に対し世代交代、高齢批判を突き付けられる。また黒人票や移民系票の取り込みも期待できる」(同)
トランプ氏は早速「史上最も無能な副大統領」「1年で国を破壊する」と激しく攻撃しているが、CNNなどの世論調査では今のところ支持率はほぼ拮抗している。米シンクタンク関係者が言う。
「銃撃され血だらけの顔でこぶしを突き上げた、勢いのあるトランプ氏にハリス氏が勝つことは簡単ではない。ただ秘策はあると思う。ひとつは共和党がトランプの“私党”となりつつあること。そこをハリス氏が突き、民主主義と多様性を強調すればトランプ氏の勢いを止められる可能性はある。さらに、このハリス氏とともに全米でオバマ元大統領より人気があるミッシェル・オバマ夫人、バイデン大統領のジル夫人が3人で並び、『アメリカをハリス氏で偉大に』と猛アピールすれば、トランプ氏の血まみれの拳の写真を凌駕できるかもしれない」
エンタメ界の援軍も続々と名乗りを上げている。大物俳優のジョ
8月19日から始まるアメリカ民主党大会で後継指名される見通しだが、ハリス氏の支持率がどうなっているのかが当面の焦点だ。
(田村建光)