岸田首相の運がついに尽きる“都議補選惨敗”の大ダメージ

「女帝を倒す」とばかりに参院議員を辞して蓮舫氏が出馬し、候補者も乱立して注目を集めた東京都知事選。フタを開けてみれば、選挙運動らしい運動もしていなかった小池百合子都知事の3選で、あっけない幕切れとなった。

 ところが同時に、いよいよ岸田政権のシリに本格的な火が点いた選挙戦でもあった。都知事選と同時に行われた東京都議補選で、自民党が惨敗。裏金問題でいかに自民党が世間からソッポを向かれているかが明白となったからだ。

「裏金問題で自民党がどれだけ支持を失っているかを占う意味では、空中戦ばかりでどう優劣が転ぶか分からない都知事選よりも、地上戦で地味に実力を問われる都議補選の方がわかりやすい。自民関係者からは『都知事選より大事』との声も聞こえたほどでした。そして結果は、自民党は9つの選挙区で8名を立てて2勝6敗。補選前は5つあった議席を2つに減らす惨敗でした。中でも注目されたのが、裏金問題の当事者の下村博文元文科相の地元、板橋区と萩生田光一前政調会長の地元の八王子でしたが、板橋は自民が獲ったものの、八王子は5万票差の完敗でした。やはり裏金問題は大きかったですね」(全国紙記者)

 だが、野党第一党の立憲民主も1勝2敗でパッとしない。都知事選で相乗りしたこの「立憲共産党」は、共産党が0勝4敗なので事実上の1勝6敗。蓮舫氏が「2位じゃダメなんですか」の2位にもなれず、石丸伸二氏にも破れ3位にしかなれなかったのとまったく同じ格好だ。

 そんな中、勝ったのはどこかと言えば、補選前の2から3に議席を増やした都民ファーストで、やはりもともとの小池人気は強かった。そこに下駄の雪のごとく自公が目立たぬ支援で服従したのだから、やはり都知事選と同じ形で、立憲共産党の選挙協力がいかに生きていなかったかが分かる。

「2位の石丸さんと蓮舫さんの票を合わせれば、小池さんに勝っていた。最初は男性有名人で候補者探しをしていましたが、結局は見つからず蓮舫さんが立った経緯を見れば、その段階でもう負けていたのかもしれません。裏金問題では、政治資金規正法改正で立憲民主は独自法案を国会に提出したものの、タイミング悪く岡田克也幹事長と大串博志選対委員長がパーティー開催を予定していたことが分かってチョンボ。意外な局面で敵失に恵まれる岸田首相にはツキがあるなどとも言われましたが、結果で見れば都知事選も落としたわけで、『ここ』という場で勢いに乗れないのは、もはや立憲民主のお家芸とでも言ったところでしょうか」(同)

 しかし自民は都知事選が獲れてスッカラカンにならずに済んだだけで、実情は小池人気や現職の強さの賜物でしかなく、自民離れが露呈したのは事実。旧安倍派で東京16区選出の大西英男衆院議員などは、補選敗戦の責任取るべきとして岸田首相の辞任を公然と要求している。いよいよ本格的な岸田下ろしが始まったか。

(猫間滋)