本格的でない低価格ジムの「チョコザップ(chocoZAP)」は、2年で会員120万人を突破、47都道府県に展開と全国制覇も果たし、RIZAPグループとしてはコンビニ並みの1万店を目指しているという。そんなRIZAPの味方についたのが、損保のSOMPOホールディングスで、7月1日に両社は資本業務提携契約を締結。SOMPOがRIZAPグループに100億円、RIZAPに200億円の資本を注入するとの会見を行った。
「金銭的なものだけではなく、業務提携では相互の顧客の紹介や研究開発、介護・ヘルスケア分野で協力を進めるとのこと。具体的には、SOMPOが展開する介護施設にチョコザップの店舗を併設したり、SOMPOのグループ生保で『健康増進型保険』というものも販売することを視野に入れているそうです」(経済ジャーナリスト)
確かにジムと損保と聞けば異業種だが、「健康」にかかわるという意味では近隣にあると言える。ましてやチョコザップの快進撃は、ジムはもちろんのことそれを越えて、今やカラオケや洗濯乾燥設備があり、健康診断までできるという〝生活コンビニ〟のような形がウケているわけで、保険会社が組むメリットは大きそうだ。
そしてこの保険商品を越えたサービスの提供こそ、生保各社が今後の生き残り戦略で重点を置いている分野なのだ。
「昨年11月に日本生命は、介護最大手のニチイHDを約2100億円もかけて買収。そして今年3月に発表した中期経営計画では、この保険商品以外の『非保険領域』を本格展開するとして業界で大きな注目を集めました。すると日生のニチイ買収の直後の昨年12月には、第一生命HDが官公庁や企業の福利厚生を請け負うベネフィット・ワンへのTOB(株式公開買付)を発表。およそ3000億円の金額を投じて、やはり非保険領域の強化に乗り出すなど、生保業界ではこの分野の拡大がキーワードになっています」(同)
今回の資本業務提携も、その大きなうねりの中の1つということだが、チョコザップの先行きに不安がないわけではない。
「RIZAPの株価が奮わないのです。チョコザップの拡大には大きな先行投資が行われたわけですが、5月15日に同社は25年3月期の業績見通しで20億円の黒字の見通しを発表したものの、先行投資の割に利益が追いついていないと、株価は一時ストップ安まで下落しました。チョコザップの躍進でジリジリと上げた株価は3月に550円辺りまで上げましたが、その後は低迷。今は350円辺りに張りついています」(市場関係者)
保険会社が非保険領域に乗り出すには、当然ながら外の器が必要となるわけだが、SOMPOの選択は吉と出るか凶と出るか。
(猫間滋)