通勤・通学は不可能…何と1日2本しか停車しない駅があった!

 全国の鉄道駅の中で1日の発着本数がもっとも多いのは東京駅の約4100本。始発から終電までひっきりなしに電車が来ていることになるが、反対に発着本数がいちばん少ない駅はどこなのか?

 それは岩手県宮古市にあるJR山田線の区界駅と松草駅。いずれも1日たったの2本だ。

 盛岡駅から区界駅は35.6㎞、隣の松草駅は43.6㎞で所要時間は1時間前後とギリギリ通勤・通学圏内とも言えるが、宮古行きの下り線は7時台、上り線の盛岡行きは8時台のため、鉄道を利用して通うのは不可能だ。

 ただし、両駅ともに秘境駅というわけではない。線路と並行する国道106号線の交通量は田舎にしては多く、駅周辺には小さいながらも集落が存在する。しかし、山間部ゆえかどちらの地域もクマの生息域らしく、4月には区界駅近くでの目撃情報も報告されている。記者も5月某日に両駅を訪問したが、内心ビビっていたのは言うまでもない。

 そんな両駅の駅近くには盛岡―宮古を結ぶ路線バスの停留所があり、上下線が1日5本ずつ出ている。なかでも朝の便は、沿線に住む高校生などが利用しているようだ。

 だが、区界・松草の両駅に1日2本しか停車しなかったのは6月14日まで。実は、GW明けから行われていた集中工事の影響で運休になっていたが現在は上下線で1日5本に戻り、“日本一本数の少ない駅”の称号は返上している。

 そのため、両駅に代わって6月後半時点でもっとも停車本数が少ないのは、JR日豊本線の宗太郎駅(大分県佐伯市)、市棚駅、北川駅、日向長井駅、北延岡駅(いずれも宮崎県延岡市)の5駅で、1日3本。特に大分・宮崎の県境付近の山深い場所にある宗太郎駅は、到達困難な九州随一の秘境駅としても有名だ。

 なお、この区間の普通列車は「にちりん」「ひゅうが」などの特急列車に使用されている787系を使用。そのため、鉄道ファンの間でも人気が高い。

 山田線の2駅を含め、どの駅も通勤・通学での利用客はほぼ皆無。だが、知らないだけで全国にはそんな駅が数多く存在するのだ。

(高島昌俊)

※写真はJR日豊本線・宗太郎駅

ライフ