2024年ドラフト戦線に異状アリだ。5月22日、韓国プロ野球・SSGランダーズが日本の独立リーグの好投手と契約したことを発表した。四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに所属する154キロ右腕・白川恵翔投手(22=右投右打)である。
「韓国プロ野球のルールでは、1球団が登録・出場可能な外国人選手は3人まで。今季から、その外国人選手が6週間以上の負傷者リスト入りする場合は、その間だけ代替の外国人選手と契約しても良いことになりました」(特派記者)
その「代替外国人選手制度」の第1号が、白川というわけだ。
昨秋のNPBのドラフト会議で指名された独立リーグ所属選手は6人。育成を加えれば合計23選手を独立リーグから輩出している。この指名数からも分かるとおり、独立リーグのレベルはかなり上がっている。今秋のドラフト会議でも複数の上位指名が予想されている。
「韓国の代替外国人選手制度ですが、6週間だけの期限付きとなると、いい選手を見つけるのは大変です。見つかったとしても、就労ビザの関係で短期間しか試合に出られません。その点でも日本に関心が向けられたのでしょう」(同)
四国の地元紙などによれば、SSGランダーズのスタッフが白川視察のために来日したのは5月18日。21日まで滞在し、その間に行われたソフトバンク3軍との試合を見て、獲得を決めたそうだ。
徳島インディゴソックスも白川もヤル気満々で、独立リーガーにチャンスが広がるのは歓迎すべきことだが、こんな声も聞かれた。
「白川との契約期間はケガをした外国人選手が戻ってくる6週間後まで。8月上旬にはいったん契約が終了します。負傷者リスト入りしていた外国人選手と白川、どちらとの契約を残すかの選択権はSSG球団にあります」(同)
負傷者入りしている外国人選手とは、キューバ出身左腕のロエニス・エリアス。昨年の今ごろ、状況は異なるが、SSGが緊急獲得し、そのまま24年シーズンの契約を勝ち取っている。白川も好投すれば「再契約」もあるかもしれない。
「白川は今年23歳。近年は何度もNPBスカウトから指名の可能性があることを意味する調査書が届いていました」(関係者)
さらに言えば、韓国球界で活躍した外国人投手が、高年俸でメジャーリーグに返り咲くケースも増えている。
「SSGランダースは、日本の独立リーグの選手リストを韓国プロ野球の各球団が作成していることを明かしています」(同)
花巻東高の佐々木麟太郎は米国の大学に進んだ。その先にはメジャーリーグのドラフト会議で指名されるという目標もあるのだろう。NPB球団を経由しないMLB入りの新ルートである。メジャーリーグを目標とする学生球児や独立リーガーたちが、今後「韓国球界を経由して」というルートを開拓したら…。
白川には活躍してもらいたいが、NPBは外国のプロ野球組織の助っ人事情も調査すべきだろう。
(飯山満/スポーツライター)