メルカリが開始した“価格設定なし出品”が「買う転売ヤー」の餌食になる落とし穴

 フリマアプリのメルカリは、商品を出品する際に価格を決めずに出品できる「価格設定なし出品」機能の提供を開始した。これで出品者側は、購入希望者が提案した額を確認してから価格を決定することが可能になったが、“売る転売ヤー”だけでなく“買う転売ヤー”も問題になるかもしれない。

「メルカリの独自調査によると、ユーザーの6割が出品する際に『価格を決めることが面倒だと感じる』と回答しているとのことで、およそ7割が実際に価格決定が面倒で出品をやめた経験があるという。確かに、出品に慣れない人は商品の適正価格が分からない場合がある。その点、購入者から提案してもらってから価格を決められれば、せっかく出品したのに売れなかったという機会損失を避けられることからも、『価格設定なし出品』はありがたい機能だと感じるユーザーは多いのではないでしょうか」(フリーライター)

 価格設定なし出品機能を利用すると、商品画面の価格部分に「???」と表示され、商品に興味がある購入希望者は自分の買いたい価格を入力すればそれが出品者に通知される。出品者は必ずしも提案された価格に設定しなければならないわけではないが、提案された価格を承諾した場合は、その価格で商品の販売が開始され、提案者にもその旨を知らせる通知が届くという。ただし…。

「購入者の方で価格を決めてくれるのは確かに便利である一方、適正価格より高い値段を提案して購入しないといったイタズラ行為が発生したり、転売ヤーが安く仕入れるために市場価格を大きく下回る価格を提案して、売ってしまう出品者も出てくる可能性はある。メルカリは、今年3月に自分が出品する商品と同じものの商品説明をコピーできる『コピー出品』を実装した際も、転売ヤー御用達機能と揶揄されている。価格設定なし出品も、転売ヤーにとって便利な機能になってしまうかもしれませんね」(ITジャーナリスト)

 ただ、出品者にとって手間は省けるうえ、「どうせ捨てようと思っていたもの」を出品したいのであれば特に、便利この上ない機能だろう。

(小林洋三)

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