曙太郎さんの葬儀で明らかになった“いまだ続く若貴の確執”

 大相撲史上初の海外出身横綱・曙太郎さん(享年54歳)の告別式にあたる葬儀が4月15日、行われた。通夜と合わせ日本、米ハワイ両国の様式で行われたが、同期入門で良きライバルだった元横綱貴乃花の花田光司氏は参列しなかった。

 ただし花田氏は所属事務所を通し、トヨタ自動車の創始者・豊田佐吉氏が好んで使った「百折不撓(ひゃくせつふとう=何度失敗しても絶対に志を曲げないという意)の人生だった」という言葉を曙さんに送っている。

「曙さんと花田氏は現役時代は一切、言葉を掛け合うことはありませんでした。花田氏の父で師匠の二子山親方(元大関貴ノ花)が、他の部屋の力士とコミュケーションを取ることを禁止していたからです。勝負の世界の厳しさを教えるのと同時に、当時蔓延していた“無気力相撲”とかかわらせないためでした」(相撲担当記者)

 2003年に曙さんが相撲協会を退職してからは同期会で親交を深めていった2人だが、それでも今回参列しなかったのは、花田氏が日本相撲協会に異議を唱えて退職した身だということに加え、実兄である花田虎上氏(元横綱3代目若乃花)の存在があるためだ。

「虎上氏の方は神妙な面持ちで葬儀に参列していましたね。若貴兄弟の不仲は今も続いているということですが、本当の理由は2人しか知らない。双方、もう50歳を過ぎただけに、そろそろ本当の意味での“和解”ができればいいのですが‥」(夕刊紙記者)

 若貴兄弟の確執は、2人が共に汗を流した「同期」が逝っても何も変わらなかった。

(小田龍司)

スポーツ