インスタグラムやYouTube、TikTokなどSNSの普及により、いまやインフルエンサーの存在は当たり前のようになっている。
以前はチャンネル登録者数1000万人を超える日本人YouTuberは少なかったが、海外の視聴者に目を向け、言葉を使わないノンバーバル動画が流行ったこともあり、先駆け的存在となったTikTokerのじゅんや、そして料理系TikTokerのバヤシなど、数千万人を超えるフォロワーを持つクリエイターが続々と誕生した。
しかし、そんなインフルエンサーという肩書きを利用した詐欺が続出しているようだ。多くのフォロワー数を抱える人気インフルエンサーの女性から話を聞いた。
「一般的にあまり知られていなくても、数万人のフォロワーを持つインフルエンサーだと、美容院やエステサロン、そして飲食店までが無料になることがあるんです。私の場合はインスタグラムのDMにお店側から依頼が来て、無料にしてもらう代わりに相手の望むように映える写真を撮ってSNSに投稿し、PRするというパターンが多いです。ほとんどのインフルエンサーは、声をかけてくださった企業様のために全力で宣伝を頑張っているのですが、そんな企業様を利用して詐欺まがいのことをしている自称インフルエンサーも存在するんです。実は今、数千人のフォロワーを格安で買うことができるんですが、それを利用して自分には多くのフォロワーがいるように見せかけ、お店でお金を払わずサービスを受ける手口が多発しています」
確かに、ネット上には「フォロワーを格安で増やします」「2万人まで対応可能です」といったフォロワー数を販売するサイトが多数存在している。インフルエンサーの女性がさらにこう続ける。
「例えば、5000人のフォロワーなら6000円ほどで買うことができるんですが、自分のフォロワー数を見せつけ、PRをエサに脱毛サロンで約1万円の施術を無料で受けたとしたら、簡単に元を取ることができますよね。知り合いの飲食店経営者から聞いた話ですが、グルメ系のインフルエンサーを名乗るXという男性が、店内で飲食した後に『自分のアカウントでここの料理を紹介すれば、客が殺到する』『良かったら僕のインスタで紹介しますよ』と言いPRをする名目でスタッフを丸め込み、飲食代金を踏み倒したケースもあったようです。まるで寸借詐欺のような手口ですが、年配の経営者はネットやSNSに疎いため、気づかないこともあるようです。Xはこの手口で毎晩飲食店を渡り歩いてはタダメシを繰り返しているようです」
もちろん、このような犯罪まがいなことをするインフルエンサーばかりではないが、「無料で宣伝します」などという甘い言葉には疑ってかかったほうが良さそうだ。
（佐藤ちひろ）
