味はほぼ同じで安い…「コカ・コーラ」が撤退したロシアで「パクリコーラ」が大人気!

 ウクライナ戦争が始まって間もない22年3月、ロシア国内の工場での生産を停止し、そのまま同国から撤退したコカ・コーラ。だが、今もスーパーなどの店頭で売られ、多くの飲食店で提供されているという。

「現在、ロシアで流通しているコカ・コーラはすべて輸入品で、スプライトやファンタといった同社の他の飲み物も普通に手に入ります」(ロシア事情に詳しいジャーナリスト)

 実は、コカ・コーラの工場は、カザフスタンやウズベキスタン、アゼルバイジャンなどロシアと友好関係にある中央アジア諸国にも存在する。どうやら、これらの国から大量に輸入されているようだ。

「ところが、他にもEU諸国や英国など、ヨーロッパの国々からも輸入されているんです。食品は経済制裁の対象外で、ロシア政府も規制しておらず、西側の有名ブランドは流通量こそ減っても完全に手に入らなくなった商品はほとんどないのです」(前出・ジャーナリスト)

 ただし、輸入品なので輸送コストに加え、インフレの影響もあって価格が高騰。戦争前はスーパーで500ミリリットルのペットボトルが30ルーブル(約46円)ほどで売られていたが、現在は10倍以上に跳ね上がっているという。

 だからかどうか、実は、ロシアではかつてコカ・コーラの現地法人だった会社が製造する「コカ・コーラのパクリ飲料」とも言われる炭酸飲料が、全炭酸飲料中で売り上げが2位になるなど大人気となっている。

「パクリコーラの需要が伸びたのは味がほぼ同じで安いから。でも、本家コカ・コーラがいいというロシア人が多いのも事実です。輸入品で高価と言ってもスタバのパクリチェーンなど小奇麗なカフェでコーヒー1杯注文するのと大差ない値段ですし、最近はちょっとした高価な嗜好品のような扱いになっています」(前出・ジャーナリスト)

 コカ・コーラの撤退によって本家コーラはブランド化され、その一方でパクリコーラが急成長するという、なんとも皮肉な状況になっているようだ。

*写真は製造中止前にロシアの工場で作られていたコカ・コーラ

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