値上げしない宣言で庶民から愛されるイタリアンレストラン「サイゼリヤ」だが、調味料コーナーからオリーブオイルが消えたと話題になっている。昨年7月には同じく調味料コーナーで無料提供していた粉チーズが有料化されたこともあり、ネット上には不安視する声も広がった。
「2月23日頃から、サイゼリヤの一部店舗で調味料コーナーからオリーブが撤去されているとの報告がSNS上に相次いでいます。ただ、無料提供が終了したわけではなく、店員に声をかけ小皿で提供してもらうスタイルに変更した店舗が増えているようですね。同チェーンのオリーブオイルは評判も良く、料理にドバドバかけて使うという人も少なくないようで、使い放題でなくなったことに落胆する声があちこちから聞こえてきます」(フードライター)
調味料コーナーからオリーブオイルが消えた背景にはオリーブ価格の世界的な高騰がある。主要原産地であるスペインでは歴史的な猛暑による干ばつで、昨年のオリーブオイルの生産量は平年の半分以下にまで落ち込んでいるのだ。日本でも昭和産業や日清オイリオグループでは値上げすることを発表。サイゼリヤもテイクアウトのオリーブオイル(500ミリリットル)を850円から1200円に改定している。
「オリーブオイルについては一時的な対応と考えられますが、ただ今後は有料化される可能性も否定できません。サイゼリヤはメニューの価格据え置きを続ける一方で、原材料が高騰したメニューの廃止やリニューアルをしていますが、それでも2023年8月期は国内の営業損益がおよそ14億円となり、4年連続の赤字を記録しているのです。海外の利益で赤字を埋めることは出来ているものの、今後も原材料などの高騰が続いたり、チャイナリスクによって海外利益が急激に落ち込む可能性もないとはいえません。今期も値上げはしない方針としていますが、そのしわ寄せがオリーブオイルの使い放題終了だけで済めばいいのですが…」(経済ジャーナリスト)
企業努力で値上げを控えてくれているだけに、オリーブオイルの小皿出しに切り替えになど文句は言えないだろう。
(小林洋三)