3月に急増!廃止間近の秘境駅やローカル線に殺到する「撮り鉄」ならぬ「葬式鉄」

 鉄道各社の春のダイヤ改正(3月16日)を目前に控えたこの時期、北海道の一部の秘境駅やローカル線に乗客が殺到する「珍事」が起きている。

 実は、JR根室本線の富良野―新得間の81.7㎞(※東鹿越―新得間は不通により代行バス運行中)と同区間にある7駅は3月末、その他に5駅が15日でそれぞれ営業終了となる。そのため、最後に現地で直接別れを告げようと全国から鉄道ファンが訪れているのだ。

 これを受けて根室本線の東鹿越発着の列車のうち、一部を通常の1両から2両に増両。さらに3月16日から運行最終日の31日まで1往復増便することをすでに発表している。

「彼らのことを“葬式鉄”と呼び、毎年のように駅が廃止になる北海道では『青春18きっぷ』が使える年末年始や3月になると増えます。代行バスに乗り換える東鹿越駅は、雪深い山奥の終点で普段は数人しか降りませんが、今年1月に訪れた時は30人近くが下車。その全員が鉄道ファンでした」(鉄道に詳しい旅行ライター・高島昌俊氏)

 根室本線の廃止区間にある布部駅はドラマ『北の国から』の第1話の冒頭に登場。さらに幾寅駅は高倉健主演の映画『鉄道員』の舞台(※作品内では幌舞駅)として有名で、どちらも作品ファンの聖地にもなっている。

「この区間は絶景エリアとしても人気です。富良野―下金山にかけてはスイス・アルプスのような高い雪山が連なる姿が、代行バス区間では狩勝峠から十勝平野がそれぞれ一望でき、一見の価値があります」(前出・高島氏)

 なお、今年は北海道外でも広島市安芸区のみどり口―みどり中央を結ぶ、スカイレールみどり坂線が4月末で全線廃止となる。

「珍しい懸垂式モノレールで、総延長1.3㎞に対して高低差160mとかなりの急勾配なのでこちらも車窓からは絶景が堪能できます。広島駅から約20分とアクセスしやすく、スーツ姿で立ち寄る人もいました」(前出・高島氏)

 鉄道にそこまで興味はなくても、旅行はもちろん、時間に余裕があれば出張のついでに少し足を伸ばしてみるのもいいかもしれない。

※写真は根室本線・幾寅駅

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