日本だけ贈ったのに韓国からは贈られてこない…。日本と韓国間での「動物寄贈」で不協和音が生じている。
「韓国・ソウル大公園にはレッサーパンダのオスの『セイ』とメスの『リアン』がいますが、2匹は昨年11月に日本の東京・多摩動物園から贈られたもの。そこで代わりに韓国からは、今年6月に日本では絶滅してしまったカワウソのつがい1組が相互寄贈で送られてくる予定でした。ところが2月13日に韓国の文化財庁がソウル動物園の申請を却下したために、頓挫してしまったというのです」(社会部記者)
もちろんレッサーパンダは国際的な絶滅危惧種。一方のカワウソも少なからぬ種が絶滅危惧種になっており、日本では1979年の目撃例を最後に確たる生存が確認されず2012年に環境省が「絶滅宣言」している。そんな希少動物の相互寄贈を日本と韓国の動物園・水族館の間で行うことになったのは、日本動物園水族館協会(JAZA)と韓国動物園水族館協会(KAZA)の間で、16年にレッサーパンダの生息地以外での保全で協力し合う協約が結ばれたから。それがあってこそ日本はレッサーパンダのつがいを贈ったものの、韓国からは贈られてこないという事態になっているのだという。
「韓国の文化財保護法では、天然記念物の国外持ち出しが禁止されているためです。ただ研究目的や動物園などで増えたものについては例外が認められますが、それが今回は認められなかったという。韓国でもカワウソは一時、絶滅の危機がありましたが、川の水質改善で復活。日本を半面教師として復活に務めた経緯があるので、そこは理解を示して欲しかったところですが…」(社会部記者)
いやいや待て、そうは言っても日本は贈っているじゃないか。それは当然、誰もが思うことで、韓国国内でもネット上では「それでも約束は守るべき」、「マナー違反じゃないか」という声が上がっているという。
中国のパンダ外交ではないが、動物の寄贈は民間交流としても効果がある。現在の日韓関係は、尹錫悦大統領の保守党政権が誕生して以来、かつてないほどの蜜月状態にある。そこにこの問題が水を差すことにならなければいいのだが。
(猫間滋)