「クソ野郎!」ワリエワの資格停止処分にあの名物コーチが猛反論「まるでプーチン思考」の指摘も

 2022年北京冬季五輪の期間中にドーピング陽性が発覚した、フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ。これは21年12月のロシア選手権後に採取された彼女の検体から禁止薬物トリメタジジンが検出されたことによるものだが、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)は、ワリエワが規則違反を犯したことを認めたものの、陽性となった際の年齢が15歳で保護対象者であったことから「過失なし」と裁定。この判断を不服として、世界反ドーピング機関(WADA)と国際スケート連盟(ISU)がスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴していたのだが、ようやく1月29日に決着がついた。

「ワリエワに対しCASが下した裁定は、禁止薬物を使用したと思われる2021年12月25日からの4年間の資格停止処分とその間の全成績を取り消すという厳しいもので、これにより、北京五輪団体で2位だった米国が金メダルに、3位だった日本が銀メダルに繰り上がり、1位だったロシア五輪委員会(ROC)はワリエワの点数が除外され銅メダルに繰り下げられることになりました」(スポーツジャーナリスト)

 現時点でまだ、ワリエワサイドは公式にコメントしていないが、この裁定を受けてすぐに反応したのが、ロシアスケート界の重鎮や一流アスリートたちだった。

 浅田真央のコーチも担当していたフィギュアスケート界の重鎮であるタチアナ・タラソワ氏は「4年間の資格停止処分なんて、人間のすることじゃない!彼らは私たちの国を憎んでいる。そしてロシアに対する憎しみは少女に移った。正真正銘のクソ野郎だ!」と激怒したと、露メディア「ANTIKOR」が伝えている。

 また、ワリエワの先輩にあたるメドベージェワも自身のSNSで「五輪が終わってから2年も経ってから、どうして判断を下すことができたのか。4回転トゥループのジャンプに役立つ薬なんてあるの?レシピを教えてもらえませんか?」と強く非難。さらにボクシングの元世界王者で国会議員のニコライ・ワルーエフ氏は「スポーツ界でロシアを基準に従わない汚い国として描こうとしている。しかしスペイン、アメリカ、その他の国では、より重いドーピングが行われているが、誰も語らない」との見解を示した。

 悪いのは自分たちではなく悪意を向ける他国であるという、まるでプーチン大統領が毎度西側に対し発しているお馴染みの他責的フレーズに、欧米のスポーツ関係者の間からは「スポーツ界もプーチン思考に毒されている」といった冷ややかな声があがっている。

 前出・スポーツジャーナリストが続ける。

「プーチン大統領は22年4月、モスクワで行った五輪メダリスト表彰式でワリエワについて『彼女はフィギュアを真の芸術のレベルにまで高めた。あのような完璧さは薬物の投与や不正によって達成できるものではない』と、全面的に擁護しています。ロシア国営メディアも、ROCの金メダルがはく奪されると、代わりに米国が1位に繰り上がることから、政治的裁定だと強く非難しています。ロシアフィギュアスケート連盟は『断固として同意しない』と裁定を拒否しており、今後スイス連保裁判所に上訴することになるでしょう」

 国家間の対立がスポーツ界でも鮮明になった。渦中の17歳のメンタルが心配だ。

(灯倫太郎)

スポーツ