いきなり撤退!?「いきなり!ステーキ」米国店舗閉鎖の“ナゼ”

 先ごろ「いきなり!ステーキ」を展開するペッパーフードサービス(本社=東京都墨田区)の米国法人Kuni’s Corporationが、米国の11店舗のうち7店舗を閉店すると発表。残る4店舗のうち、2店舗に関しては「いきなり!ステーキ」として営業を続けるが、残り2店舗は業態変更を行う予定だという。
 
「『いきなり!ステーキ』は2017年にニューヨークに進出したばかりで、日本同様、安価で手軽をウリに展開を図りましたが受け入れらなかった。日本のステーキ店がニューヨークで勝負するということは、言ってみればアメリカの日本食レストランが銀座に店を出すようなもの。そのため、当初から無謀な挑戦とは言われていたんです」(経済ライター)

「いきなり!ステーキ」は一方で、日本国内でも客離れが見え始めている。新規出店効果で増益を確保したものの、昨年春までは絶好調だった既存店の集客率が、4月以降はマイナスに転じているのだ。その原因は、料金の値上げや大量出店による自社競合もあると見られている。

「さらに付け加えるのであれば、目新しさが一段落したところも大きいと思われます。『いきなり!ステーキ』で食べた人の感想で多く聞かれるのが《値段相応の味》というもの。今となってはそこまで安いわけでもないし、かといってビックリするほど美味いわけでもない。中には1カ月に50kgのステーキを食べるヘビーユーザーもいるそうですが、1号店出店から5年が経過し物珍しさがなくなった現状では、たまに出向くのが一般的になったということでしょう」(前出・経済ライター)

 2月14日にペッパーフードサービスが発表した2018年12月期連結決算は、米国子会社の不振が響き、純損益が8年ぶりの赤字となった。日本でも米国でも厳しい状況が続くが、「今後はTPP加盟国で関税の安いカナダ産牛肉を仕入れる計画もある」(関係者)とのこと。今後はますます舵取りが重要になりそうだ。

(小島洋三)
 

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