年末を迎えふるさと納税の申込が活発化している。今年は10月から地場産品基準の厳格化や返礼品の見直しが行われ、9月いっぱいまでの駆けつけ寄付が増加したが、その年に寄付できる納税額の目安がつく12月に再びラッシュが起きている。
そもそもふるさと納税は、「今は都会に住んでいても、自分を育んでくれた『ふるさと』に自分の意志でいくらかでも納税できる制度があっても良いのではないか」という問題提起から生まれたもの。ところが実際は自分の生まれ故郷に限らず、魅力的な“返礼品”のある自治体に多額の寄付が集まっているのが現状だ。
2022年度の“勝ち組”トップは、宮崎県都城市、“負け組”の筆頭は神奈川県川崎市だった。自分の故郷が果たしてプラスなのか、それとも大赤字になってるのか、気になる方も多いのではないだろうか。
そんなふるさと納税の収支が一発で分かるサイトが注目を集めている。Webメディアライターが語る。
「日本経済新聞が開設している『ふるさと納税のリアル あなたの街は勝ち組?負け組?』では、年度別に寄付額が色別で表示され、一目で収支がプラスになっているのかマイナスになっているのかが分かる仕組みになっています。昨年度は都城市が103億9570万7720円の実質収入額でトップになっていますね。一方、返礼品に地域の特徴があまり見られない都市部は大幅赤字が続いています」
北海道の紋別市などは、100億円近い収益を上げており、人口2万人という街の規模を考えると、莫大な寄付額が集まっていると言えるだろう。もし、ふるさと納税の抜本的な見直しが行われたら、死活問題に発展するのではないか。
また、兵庫県・淡路島の洲本市は2020年に約54億円、21年に約78億円と多額の寄付を集めていたが、返礼品の割合が寄付額の「3割」を超えていることが判明し、総務省から対象団体としての指定を取り消されている。ところがその後の調べで、総務省に対して虚偽の公文書を提出していたことが濃厚になり、さらなる波紋を広げている。もしかしたら他にも不正を働いている自治体があるかもしれない。
近年はポータルサイトの手数料など返礼品にかかるコストが上昇し、寄付額の10%以上がかかっているという。今後は仲介サイトのあり方なども議論になっていくだろう。
(ケン高田)