英公共放送「BBC」が日本政治を揺るがす「裏金疑惑」に切り込んでいる。
12月23日に配信された記事では、「日本政治を揺るがす裏金疑惑 岸田政権はどうなるのか」と題して、自民党の議員らの派閥の政治資金集めパーティー収入の「キックバック」問題について報道し、「裏金で利益を得ている人が日本には大勢いる」と厳しく追及。「日本の政治が数十年に一度といわれる危機を迎えている。裏金疑惑に揺れる岸田政権は、イメージの回復に躍起となっている」と全世界に配信した。
また、静岡県立大学の竹下誠二郎教授(経営情報学)の話として、政治資金に関して規制が強化され、より厳しい報告制度が導入されたとしても、「岸田首相が大改革をするほどのスキャンダルではない」「まさに現状の打破こそ、日本人が嫌うものだ」と報じた。
さらに、自民党に不正が発覚しても有権者は冷めきっているとし、その理由は「現実的に政権を取って代わる党がないこと」、それゆえに「日本の国民の間で投票率や政治への関心が最低レベルまで落ちている」と結論づけた。
BBCの報道といえば思い出されるのは、今年3月18日に放送されたドキュメンタリー番組「J-POPの捕食者 秘められたスキャンダル」だろう。この番組はこれまで「芸能界のタブー」とされた故ジャニー喜多川氏の性加害問題に鋭く切り込み、ジャニーズ事務所がもうけた「再発防止特別チーム」が40年以上に及ぶ性加害を認定するきっかけとなった。今回、BBSが自民党の裏金疑惑を取り上げたことで、SNSでは「ジャニーズの次はいよいよ日本政府か」という声が広がっている。
「BBCの記事では不正をしていた議員の逮捕の可能性までには踏み込んではいませんでしたが、この事件を報道することが、旧ジャニーズ事務所の性加害問題のように重要であると捉えているのを感じます。BBCは他国の問題には煽り気味に報じる傾向があるので、これからさらに食い込んだ記事が掲載される可能性もあるでしょうね。ネット上ではジャニーズ問題のような広がりを期待しているのか、『サンキュー外圧』などと、BBCの報道を歓迎する向きも少なくありません」(政治ジャーナリスト)
12月24日に投開票された東京都武蔵野市長選では、わずか339票差の大接戦で、18年ぶりに自民系市長が誕生した。武蔵野市は元々リベラル系の強い地域だったが、国政で逆風が吹き荒れる中での勝利に衝撃が走っている。
連日メディアが裏金疑惑を報道する中、いつになっても変わらぬ日本の政治に、BBCの報道を歓迎する声が広がっている。
(ケン高田)