「歩行防止」エスカレーターが登場!危険な「片側空け」はいつ定着したのか

 日立製作所と日立ビルシステムは25日、「エスカレーターの片側空け」を抑止する新機能を搭載したエスカレーターを発表した。日本ではエスカレーターの片側空けを当たり前の光景として全国各地で見かけるが、駅などでは片側空けをしないよう呼びかけているところも少なくない。

「そもそもエスカレーターは歩いたり、走って利用するようには作られておらず、立ち止まって乗ることが前提とされています。エスカレーターで立ち止まらないことによって起きた事故が年間でおよそ800件発生していて、埼玉県では『エスカレーターは立ち止まって利用する』という条例を2021年から施行していますが、実際には守られていないのが実情です。そこで日立は、LEDを活用して片側を空けずに二列利用を促すエスカレーターを開発。このエスカレーターは大阪・関西万博会場の最寄り駅である大阪メトロ中央線の夢洲駅に設置されるといいます」(社会部記者)

 エスカレーターの片側空けがはじまったのは、1944年頃のロンドンの地下鉄だったとされる。急ぐ人のために片側を空けるように鉄道会社が呼びかけたのがはじまりだという。日本でいつから片側空けが定着したのかはっきりとは分かっておらず、鉄道会社の指示があったわけではなく1980年代に自然発生的に生まれ、定着したと言われている。

「急ぐ人のために片側を空けておくというのはいかにも日本人的な気遣いではありますが、小さい子供を連れた親は手を繋いで並んで乗りたいですし、ギプスをしている人や杖を付いているお年寄りの横を通るのは非常に危険。それでも、並列で乗っていると『どいて!』と怒鳴られたり、あおられたりすることはよくありますし、押されてケガをする事故も起こっています。長年定着している片側空けをなくすためには、利用者の意識を根本から変えなければなりませんから、エスカレーター自体が並列利用をLEDで促すというのは画期的だと思います」(フリージャーナリスト)

 これで、エスカレーターでの事故が減ればいいが。

(小林洋三)

ライフ