安倍氏事件に各国がダメ出し!? 来年の「広島サミット」に“ガラ空き警備”余波

 8日に奈良市で起きた安倍元首相襲撃事件は、先進国の首脳経験者がテロで命を落とした今世紀初の出来事となり、世界各国に衝撃を与えた。

 その政治信条に賛否はあったものの、政策を推し進めるリーダーシップや外交手腕は高く評価されていた安倍氏。事件当日、現場の大和西大寺駅前の演説会場には7名のSPと15人前後の県連スタッフがいたにもかかわらず、山上徹也容疑者に至近距離への接近を許したことで疑問の声が殺到。奈良県警の鬼塚友章本部長も9日の会見で「問題があったことは否定できない」とこれを認めている。
 
 この事件の影響は海外にも及んでおり、諸外国から“要人を守れない国”とのイメージを持たれてしまっているようだ。英国のBBCは「警備体制が甘い」、米国のビジネス・インサイダーも「警備態勢がほとんど敷かれてなかった」と厳しく指摘している。

「致命傷となった2発目の銃声までは3秒間あり、SPが安倍元首相の身をかがめさせることも自らが盾になることは可能だった」

 と語るのは、多数の要人警護の実績を持つ民間SP会社の幹部。警護の人員こそ足りていたがチームとして機能しておらず、「ガラ空き」とダメ出しされても仕方なかったと断罪する。

「警視庁の警備局は実力も専門性も別格。ですが、地方県警になると要人警護を担当する警備部は規模も小さく、警護する力量も個人によって差がある。はたして最高レベルの危機意識を持っていたのか、また銃での襲撃に対する備えにも疑問が残ります」

 来年5月19〜21日にはG7首脳による「広島サミット」が予定されているが、こちらの保安にも不安視する声があがっている。

「地方開催だが警視庁警備部警護課が警備の中心を担うはずだし、かつてない厳戒態勢が敷かれることは間違いない。しかし問題は、世界中のテロリストに“日本は隙だらけ”との印象を与えてしまったことです」

 世界からの信用を取り戻すためにも、二度と襲撃事件を許してはならない。

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