巨人「ウォーカー放出」は原前政権の「失態整理」だった!?

 「巨人アダム・ウォーカーがソフトバンクへトレード移籍」の一報が飛び込んできたのは、日本シリーズ第7戦が終了した翌日の11月6日だった。

「ソフトバンクは右の大砲が今オフの補強ポイントでした。外国人野手の活躍がなかったので、ウォーカーの獲得はプラス要素が大きいと思います。チーム防御率がリーグ5位の3.39だった巨人も、高橋礼、泉圭輔と実績のある投手を獲れたのでウィンウィンのトレードでした」(スポーツ紙記者)

 ウォーカー放出の噂はシーズン中から出ていた。今季は出場機会が激減したが、DH制のパ・リーグに行けば、活躍の機会は確実に増える。今季、パ・リーグ本塁打王のタイトルを獲得したのは、ウォーカーといっしょに巨人に入団した、現千葉ロッテのポランコだ。

「来季、ポランコとウォーカーで本塁打王争いが繰り広げられたら、面白い展開になりそうですね」(前出・同)

 こんなウラ話もある。ウォーカーの来日は22年。巨人サイドは守備難も把握していたが、あまり問題にしなかったそうだ。が、守備に目をつぶるだけの打撃力があると確信していたわけではない。

「同年、セ・リーグがDH制になると読んでいたんです」(球界関係者)

 22年はメジャーリーグのナ・リーグもDH制を導入した。前年までの2年間、コロナ禍のため、試験的にDH制が採用されたため、大きな混乱はなかった。これを受けて、世界の主要プロ野球リーグで「9人制」を続けているのはNPBのセ・リーグだけとなった。

「MLBに倣って」と読み間違えたのだろうが、原辰徳前監督が19年の日本シリーズで4連敗を喫した後、「セ・リーグにもDH制を!」と訴えていたことが思い出される。

「DH制の導入を見越して獲得した選手だったので、ウォーカーの放出は止むを得ない流れでした」(前出・同)

 アメリカの独立リーグ出身という異色の経歴でも話題になったが、現地関係者によれば、その当時からDH専門の選手だったそうだ。

 ウォーカーの守備力はプロ野球選手のレベルには達していないが、日々、上達していたことはファンも認めている。本当に努力したのだろう。ウォーカーの放出は「前任者の失態整理」でもあったようだ。

(飯山満/スポーツライター)

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