文献などの資料によると、古墳時代から存在していた日本の貴族。時代によっては貴族たちが実権を握り、政治を動かすこともあったが1947年5月3日の日本国憲法の施行をもって我が国の貴族制度は廃止されている。
一方で世界には、現在も貴族階級が存在する国が少なくない。なかでもヨーロッパは英国やフランス、オランダなど10数カ国に世襲貴族制が認められている。特に英国ではこれとは別に政財界や文化芸能、スポーツの分野で大きな功績を残した人物に対し、一代限りの爵位を与えている。
そんな中、何の功績がなくてもお金さえ払えば爵位を貰える国もある。それがシーランド公国だ。
「そんな国、聞いたことがない」という人も多いと思うが、それもそのはずで国連に加盟もしていなければ、同国を承認する国もない。とはいえ、イギリス南東部の沖合10キロの洋上にテニスコートほどの大きさの〝国土〟を領有している。
「第二次大戦中に英国軍が建設し、1956年に放棄した海上要塞を地元の漁師ロイ・ベーツ氏が占拠して建国を宣言。生前は自らをシーランド大公と名乗っていました」(英国在住ライター)
その後、不法占拠で逮捕されるも英国の裁判所は「我が国の領海外」と大公を釈放し、これを事実上の容認と勝手に解釈。現在は孫にあたるリアム・ベーツ公が管理しており、国家事業として行っているのが爵位の販売だ。
日本語にも対応している公国の公式サイトを見ると、男爵は6158円、騎士爵は1万5398円、伯爵は3万999円、侯爵は7万6999円とある。さらに国土の一部領有権も2999円で購入できるようだ。
「でも、立派な証明書が貰えるだけです(笑)。しかし、注文は世界中から入っているらしく、元手は紙代くらいなので売り上げはほぼ利益となっているようです」(同)
何か特権があるわけではないが、それでも貴族を名乗りたいという人にはいいかも。