大谷翔平「手術は成功」でも気になるエンゼルスとの関係「手術日を球団が知らなかった」

 9月21日(日本時間、以下同)のレイズ戦後、エンゼルスのフィル・ネビン監督が「大谷翔平の手術」について聞かれ、こう答えた。

「手術はうまくいった。彼は元気だよ。手術がうまくいった結果にとても満足しているそうだ」

 ネビン監督は終始笑顔を浮かべていたが、一方でそのコメントは新たな疑問を生じさせた。

 まず、同監督は通訳の水原一平氏を介して状態を知ったということ。ペナントレースが終わっていない以上、監督が大谷に帯同することはできない。しかし、チームスタッフを帯同させることはできたはずだ。

「大谷の代理人であるネズ・バレロ氏が執刀医を探し、手術日の他、入院に関する全ての手続きを行ったそうです」(現地メディア)

 大谷の右ヒジにメスが入れられたのは19日早朝。一部の米報道によれば、同日、その件をエンゼルス首脳陣にぶつけたところ、「知らなかった」「本当か」などの言葉が返って来たという。つまり、大谷のグラウンド外の行動を球団がまったく把握していなかったようなのだ。しかし、こんな意見も聞かれた。

「エンゼルスが大谷の手術スケジュールを知らなかったことへの疑念は否定できません。ただ、執刀医の名前を聞いて安心していたから、細かいことはあえて知ろうとしなかったとも解釈できます。大谷の執刀医はスポーツ界では知らない人がいないくらいの名医ですから」(米国人ライター)

 執刀医はニール・エラトロッシュ氏。大谷の18年のトミー・ジョン手術も担当しており、過去、NBAやNFLのスター選手の回復手術も担当してきたという。そのため、プロアスリートたちの間では「カリスマ的外科医」としても認知されており、「一般外来は何年も前からできなくなった。アスリート専門のドクター」(前出・ライター)とも言われている。

 その名医が「24年は打者復帰できる」と明言したこともあり、米国のファンも安堵したという。日本にはそれほど「危機感」が伝わってこなかったのもそのためだろう。

 手術の成功は喜ばしい限りだが、エンゼルスに報告なしで手術まで進められた背景には何があったのか。また、エンゼルスも今後の大谷のリハビリスケジュールを立てていない。今季満了と同時に契約が切れるとはいえ、大谷と球団の間の「溝」が気になるのだ。

(飯山満/スポーツライター)

スポーツ