宮崎フェニックスリーグで巨人のドラフト2位(2022年)の萩尾匡也が覚醒した。3試合を終えて14打数6安打4打点、打率4割2分9厘と絶好調だ。ファームでは1番バッターで起用されることが多く、それなりの結果を出してきたが、一軍では通用しなかった。
「巨人は今秋のドラフト会議で左打ちの外野手を獲るようです。右打ちの外野手は飽和状態なので結果を残さないと厳しくなります」(スポーツ紙記者)
そんなチーム状況も萩尾の気持ちに火をつけたのだろう。しかし、萩尾の覚醒にはアノ人が関わっていたのだ。「Youは何しに巨人に来たの?」と冷やかされた松田宣浩氏だ。
「萩尾は大学時代の打撃フォームに戻しました。プロ入り後はバットグリップの位置を低くし、レベルスイングに改造していたんです。それがフェニックスリーグではバットグリップの位置を高くし、大学時代に戻したんです」(前出・同)
打撃フォームを戻しただけではなかった。バットを構えた位置から右手をぶつけていく感覚を新たに習得。その助言を松田氏に仰いだのだそうだ。シーズン後半、萩尾は同じ右バッターである松田氏に相談。松田氏は18年間のプロ生活で得た感覚、タイミングの取り方などを惜しみなく教えていたという。
「松田氏はこれまでもベンチでも声を出し、チームを盛り上げてきました。浅野翔吾は声を出すタイミング、どんな言葉を言えばいいのかまで相談していました」(関係者)
萩尾が一軍の戦力になれば、松田氏は「何しに?」と聞かれたら、答えられるだろう。去就に関してはまだハッキリとしていないが、その打撃指導は巨人の若手を釘付けにしていた。指導者の素質もありそうだが…。
「古巣ソフトバンクはリードオフマン・タイプの若手はたくさん育ちましたが、長距離タイプは育っていません。シーズン全日程が終了したら、アクションがあるのでは?」(前出・スポーツ紙記者)
萩尾の覚醒は阿部慎之助監督にも報告されている。Ⅴ奪回のカギは熱烈指導による「松田遺産」かもしれない。
(飯山満/スポーツライター)