10月13日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する解散命令請求が文科省から東京地裁になされた。教団側は全面的に争う姿勢を見せたが、裁判所が妥当性を判断して解散命令が出されれば、旧統一教会から宗教法人格が剥奪され、税制上の優遇を受けられなくなる。
ところで、なぜこのタイミングなのか。岸田文雄首相は、秋の臨時国会で解散・総選挙を行うとされており、実は、そのためのポイント稼ぎだろうとも言われている。
もちろん、解散命令の請求に至るまでには「質問権の行使」や「過料の請求」と、いくつもの段階が踏まれてきており、ようやくその緒手続きが出揃ったからという見方もある。だが、岸田首相が、自身に付けられた「増税メガネ」の汚名を晴らし、欠けていると言われる決断力を示したいがための解散請求だった、という指摘もあるのだ。
「まるで、首相の人気回復のために旧統一教会が使われているような感がありますが、実はこれまでにもいくつかの『状況証拠』があるのです」(政治部記者)
例えば昨年7月に行われた「質問権の行使」だという。
「7月に安倍晋三元首相が凶弾に倒れた後に旧統一教会問題が急浮上したわけですが、この時は、当初は高かった岸田首相の支持率がガタ落ちした時期でした。また、過料の請求が今年の9月7日に行われましたが、その前に行われた読売新聞の世論調査で、政権の支持率が35%と2カ月連続で最低記録を更新していました」(前出・記者)
この後に行った内閣改造の評判もパッとせず、今回、解散命令請求となったわけだが、
「つまり、人気が落ち込んだ時に限って旧統一教会に関するニュースが賑わうのです。人気回復のカンフル剤に旧統一教会を利用しているのでは、という見方が広がるのも当然、といったところでしょう。藤井聡太八冠に対して内閣総理大臣顕彰の授与を決めたことも解散・総選挙前の人気取りか、といううがった見方も出るほどです」(前出・記者)
ところが結果は、10月16日に各報道機関が発表した岸田内閣の支持率は過去最低をまたも更新。衆院解散の「伝家の宝」は抜きづらくなったか。
(猫間滋)