資産形成の1つの手段として、ロボアドバイザーの利用者が世界的に増加している。市場調査レポートの販売会社・グローバルインフォメーションによると、ロボアドバイザーの市場規模は2020年に約51億ドルを記録し、23年は約65億ドル。30年には約378億ドルに達する見込みだという。
ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)を活用して投資診断やアドバイス、運用などを行うサービス。資産運用を助言してくれるが、実際の運用は自身で行うアドバイス型と、ロボアドバイザーが提案した商品を選んだ後、自動的に運用してくれる投資一任型の2種類がある。アドバイス型の利用料は無料のものが多く、投資一任型は運用手数料が発生する。
投資初心者にとって利用しやすいのが、投資一任型。国内でも10社以上がロボアドバイザーによる金融商品を提供している。一般NISA(最長5年間、年間120万円の投資枠から得られた利益は非課税)にも対応したものもある。
40代のAさんは23年2月に100万円を入金してロボアドバイザーによる個人資産運用サービス「ウェルスナビ」の「おまかせNISA」を開始した。積立額は毎月3万円で、6月から5万円に増額。8月までの投資額は合計127万円だ。運用実績は9月22日現在で141万3296円。14万3296円(+11.28%)の利益を出している。ポートフォリオを見ると、株式が約8割で、債券、金、不動産にも投資されている。
「Aさんはこれまでのところ利益を出していますが、今後の世界経済の行方によっては大きく変動することも十分あり得ます。ウェルスナビに限ったことではありませんが、ロボアドバイザーは利益を確約するものではありません。投資商品である以上、元本割れのリスクも伴います。ロボアドバイザーを始めるときは過去の実績や運用手数料の比較、NISA対応の有無など、細かく検討していくことが大切です」(マネー誌ライター)
ロボアドバイザーでの投資を始めるなら、リスク覚悟で少額からが賢明か。
(石田英明)