吉野家がデリバリー配達員限定クーポンを配布 イメージアップだけでない“抑止効果”とは

 牛丼チェーン大手「吉野家」は19日、フードデリバリーの配達員向けに吉野家全店舗で利用できる割引クーポンを8月以降から配布していることを発表した。「Wolt」「Uber Eats」「出前館」で配達を行う10万人以上が対象になる。

 吉野家によると、同社の大切なパートナーであるフードデリバリーサービスの配達員は、配達時間が不規則であることから食事をとるタイミングや場所が作りづらい場合もあると説明。そのため、配達員が食事を取りやすい環境をサポートするために、8月以降、順次フードデリバリーサービス配達員限定の割引クーポンを発行していると明らかにしたのだった。

「割引クーポン配布などの優遇措置によって、配達員のつまみ食いが減るかもしれません。さすがに牛丼をつまみ食いすることはないでしょうが、US Foodsが2019年にアメリカで実施したアンケート調査によると、フードデリバリー配達員の約30%が『つまみ食いをしたことがある』と回答しています。これはアメリカに限った話ではなく、日本のSNSでもフードデリバリーでつまみ食いをされたという投稿も少なくないのです。しかし、配達先の飲食店が配布してくれた配達員向けの割引クーポンを利用することで店側にポジティブな印象を持つようになり、つまみ食いが減る可能性は十分にあるでしょう」(フリージャーナリスト)

 配達員向けのサービスを行う企業が増えれば、他にもメリットがあるという。

「大手では、『ローソン』も今年7月にUber Eatsの配達員約7万人に『どらもっち(あんこ&ホイップ)』の無料券を配布していますが、こういった取り組みが広がれば配達員は嬉しいですし、クーポンなどの配布で配達員の食事利用が増えれば、飲食店側にもメリットがあります。どんどん取り入れるところが出てくればお互いにウィンウィンになると思います」(同)

 配達員向けの割引クーポンがフードデリバリーをより良くしてくれるかもしれない。

(小林洋三)

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