ラーメン店の倒産が過去最多ペース!材料費高騰と「1000円の壁」の板挟み地獄

 2023年1-8月の「ラーメン屋さん」の倒産が前年同期の3.5倍と大幅に増えていることを、東京商工リサーチが12日に明らかにした。物価高や人件費の高騰が影響していると考えられるが、ラーメン業界には未だ「1000円の壁」が高く立ちはだかっているとの指摘もある。

「23年1-8月のラーメン店の倒産は28件となりました。同期としては新型コロナによる営業の自粛や時短営業などで20年に過去最多となる31件を記録しましたが、その後はコロナ関連支援金が給付されたこともあって20年全体としては38件に収まっており、21年、22年と年々倒産件数は減っていました。しかし、ここに来てラーメンに使われる小麦や豚肉、もやし、背脂などの価格が次々と高騰しており、加えて人件費も上がり続けていることから経営に大きな打撃を受けているラーメン店も少なくないのです」(ラーメンライター)

 材料費が高騰しているならばラーメンの価格を値上げすればいいと思われるかもしれないが、ラーメン業界には古くから「1000円の壁」と呼ばれるものが存在する。ラーメンは庶民の食べ物であり、昔は一杯500円で食べられたといった認識から、ラーメンを1000円以上に値上げすると急速に客離れが起こるとされているのだ。最近では1000円以上のラーメンを提供する店舗もポツポツと出てきたが、ネット上の口コミなどを見るとやはり値段に対しては厳しい意見が少なくない。

「今年1月に元サッカー日本代表の本田圭佑氏がX(旧Twitter)に『ラーメン屋。あの美味さで730円は安すぎる。もうちょっと値上げするべき』『次ラーメン食うときは2000円支払います。必ず』と投稿して話題になりました。ニューヨークではラーメン一杯2000円は当たり前ですし、世界的に見れば日本のラーメンの安さは異常とも言えます。しかし、その一方で、先日ラーメンインフルエンサーが背脂多めにしたらメニューに書いていないのに追加で100円取られたと憤慨して投稿したことが物議を醸しましたが、やはりラーメンは安く食べられるものと考える人がそれなりにいるのも実情なのです」(同)

 材料費は上がり続ける中で、なかなか値上げが出来ないラーメン店。業界全体で1000円の壁を打ち破らなければ、さらに倒産件数は増えていくかもしれない。

(小林洋三)

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