神奈川県の酒造メーカー「吉川酒造」は、販売する日本酒「雨降AFURI」が商標権を侵害しているとラーメンチェーン「AFURI」から提訴されたと発表した。提訴したAFURI社は2017年からアメリカで「AFURI」という日本酒を提供してきたと事情を説明しているが、ネット上では批判の声が殺到している。
「8月22日、吉川酒造は公式サイトにてAFURI社から提訴されていることを報告しました。それによると、日本酒のラベルにAFURIと記載するのは同社の著名性にフリーライドし、その商標権を侵害するものであり、『商品を全て廃棄処分すること等を要求』されたといいます。しかし、『雨降AFURI』は丹沢大山の古名『あめふり(あふり)山』と、酒造の神を祀る近隣の『大山阿夫利神社』にちなんで命名したもので、AFURI社の商標権を侵害するものではないと説明。また、AFURI社は『阿夫利』『AFURI』で構成される商標を150種類以上取得しており、同様の名称を持つ地元企業からも不安の声が出ているといい、『情報開示の責任があると考えるに至った』としています」(フリーライター)
この発表に対してAFURI社の中村比呂人社長は24日、Facebookに自身の考えを投稿した。AFURI社では16年にアメリカでIZAKAYAを開業し、協力企業とAFURIオリジナルラベルの日本酒を販売。さらに以前からオリジナルの日本酒やビールを作るためにお酒としての「AFURI」の商標を取得していたという。そのため、ラベルにAFURIと記載することは商標権の侵害になるといい、「何度考えても、我々はビジネスのルールに則った正当な手続きを踏んでるだけなんですよ」と説明している。
「確かに、ビジネスルールとしては先に商標を登録した方がその名称を使用できるわけですが、そもそもAFURIというのが地名に由来しているものですから、それを登録して独占するというのはよくないというのが批判する人たちの意見です。過去に、コロナ禍で人気となった疫病を沈める妖怪『アマビエ』を電通が商標出願した際や、動画ジャンルとして存在していた『ゆっくり茶番劇』をYouTuberが商標登録した際にも批判が噴出しましたが、それと似た反応が起こっていると考えられます。双方は、最終的な判断を司法の場に委ねるとしていますが、勝っても負けてもAFURI社にはある程度のマイナスイメージが付いてしまうかもしれません」(経済ジャーナリスト)
果たして、司法はどう判断するのだろうか?
(小林洋三)