職業別電話帳「タウンページ」に登録された国内のラーメン店は約2万4000軒。誰でも気軽に味わえる安価な国民食だが、
「日本では1000円そこそこで食べられる『一蘭』も、ニューヨーク店では倍近くの料金を取りますし、海外では2000円、3000円のラーメンはザラ」(グルメライター)
低価格で提供している仕組みを、フードジャーナリストの永谷正樹氏はこう語る。
「まだラーメンがブームになる前の話ですが、他の飲食店に比べて低コストで始められるのがラーメン屋でした。もともと、脱サラしたサラリーマンが気軽に始めて低価格で提供するという発想で生まれたので、1000円以下の価格帯がほとんどです」
また、ラーメン店でよく目にする「自家製麺」の文字。一見、仕入れ麺よりもこだわりがあり、おいしいように見えるが、そこにも見えないワナが─。
「喫茶店でも『直焙煎』と書いているところがありますが、これはコストが抑えられるからです。焙煎機や製麺機を導入する際に初期費用がかかるものの、原材料費を抑えることができる。安くあげるために製麺機を導入している店もあるので、一概に自家製麺がおいしいとは限らない。また、今の製麺屋さんはかなりバリエーションが細分化していて、スープに合う麺を仕入れることができますから」(永谷氏)
時代とともに製麺所の技術は進化し、味も向上しているのだ。
さらに、ラーメン店の券売機についても素朴な疑問が浮かぶ。たいていの店は看板メニューが左上に表記されているが、ラーメン店主が解説するには、
「日本人は、横書きのものは左上から順に読むクセがあるからですよ。そうすると、最初に目に入りますから、注文率も上がるんです」
さらに永谷氏は、券売機に隠された闇カラクリを明かす。
「対面で現金手渡しの店だと、売れた杯数を1割ほど引いて申告している店があるようです。券売機だと売り上げの管理が簡単になりますが、中国製のロムを中に仕込むことで杯数をゴマかせると聞いたことはありますね。ただ、細かい作業になるので、不正を働いているのはごく一部。券売機を導入しているところは、ちゃんと税金を払っていると思います」
開業資金の返済に追われて売り上げをごまかす店がある一方で、コンビニとのコラボ商品を売り出し、ロイヤリティ収入で稼いでいる店も。
「関東地方を中心に店舗展開している『蒙古タンメン中本』はコンビニ向けのカップ麺も爆売れ。その収入は他の人気チェーン店の社長がうらやむほどだとか」(グルメライター)
ところが、うまい話ばかりではないようで‥‥。
「有名店が監修したコンビニ限定チルド麺の場合、1杯500円で売るとすると、1杯あたり1円がロイヤリティ収入だそうです。通年で販売すると約20万食売れるので、年間の収入は20万円。お店としてはほぼ儲けにならないのが現状ですね。『監修』といっても、お店のレシピは教えずにコンビニ開発部で再現していますから、全く同じ味というわけではありません。ビジネスと割り切っている店は、宣伝目的でコラボしています」(永谷氏)
これからの季節、悪徳店に気をつけて熱々ラーメンを召し上がれ。
*「週刊アサヒ芸能」11月11日号より