加藤浩次のやり方では失敗必至!?吉本流エージェント制度の危うさ

 所属する吉本興業の幹部に対して反旗を翻した加藤浩次が、会社に飲んでもらったというエージェント契約について語った。8月10日放送のラジオ番組「極楽とんぼ オレたちちょこっとやってまーす!」(MBSラジオ)にて、妻で元タレントの香織さんにスケジュール管理を任せる可能性に言及したもの。

 その“エージェント契約”は、加藤自身が吉本に対して提案した制度。吉本側は8月8日に同制度の導入を発表しており、同社が設置した「経営アドバイザリー委員会」の座長を務める川上和久氏は、「これまで日本の芸能プロダクションの慣行としてなかったもの」とエージェント契約について説明。米MLBなども取り入れている制度だと語っていた。だがアメリカのプロスポーツ事情に詳しいスポーツライターは、吉本流のエージェント契約に対してこう首をひねる。

「吉本側の説明によると、会社(吉本)は仕事の獲得や契約交渉を主に行い、タレント本人のマネジメントはタレント自身が行うとのこと。加藤本人も『僕は吉本というエージェントを通して、吉本の仕事をする。他の仕事は他のエージェントを通してやる』と語っていました。ですがこの形は、アメリカ型のエージェント契約とは明らかに異なります。アメリカ型ではスポーツ選手やタレントがマネジメントを専門に手掛ける“代理人”と契約し、自らのマネジメントを一任。仕事の交渉やスケジュール管理などのすべては代理人が担当します。その点で吉本流のマネジメント契約は、スケジュール管理や反社チェックといった重要な部分をタレント本人に背負わせており、これでは単に吉本側の負担が減るだけ。タレント側にさほどのメリットがあるとは思えません」

 吉本がエージェント(代理人)の役割を果たすのであれば、従来通りスケジュール管理も行うべきであり、加藤が妻にスケジュール管理を任せるという時点ですでにエージェント契約とは異なっている形だという。吉本の提案した制度は結局、単なる“仕事のあっせん”に過ぎず、これを“エージェント契約”と呼んでしまっては誤った理解を広めることになりかねないと、前出のライターは警鐘を鳴らす。

「そもそもエージェント制度では、代理人を通して様々な仕事を受けられるもの。それに対して吉本流は《吉本という代理人を通さず、外部から仕事を取ってきてもいい》という形であり、本来のエージェント制度とは異なっています。またエージェント制度では、代理人の出来に不満があれば他の代理人に乗り換えられますが、吉本流では芸人が吉本との契約を解除したくても、他の事務所に乗り換えられるわけではありません。その意味で、吉本流の制度は本来のエージェント制度とはかけ離れており、結局は芸能界に従来から存在する《個人事務所を設立して吉本と業務提携する》という形と変わらないのではないでしょうか」

 タレントのスケジュール管理は本来、かなり大変なもの。たとえば屋外での仕事が雨で流れた場合、別の日に延期するのか、それとも参加を取りやめるのか、といったセンシティブな問題について仕事相手と交渉する必要もある。そうした業務を芸能事務所や専門の代理人ではなく、加藤の妻に負わせるのは酷というもの。加藤はその大変さを理解しているのか。

 吉本流エージェント制度の先行きには暗雲が立ち込めているのかもしれない。

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