19年に起こった吉本興業の闇営業問題によって、専属エージェント契約が新設された。海外のエンターテインメント業界では当たり前だが、吉本も導入して2年弱。すでに極楽とんぼ・加藤浩次、たむらけんじ、ハリンセンボン・近藤春菜、ロンドンブーツ1号2号の田村淳&田村亮、友近、バッファロー吾郎A、天竺鼠・川原克己ほか、人気芸人が専属マネジメントからエージェント契約に移行している。
近藤のようにマネジメント会社に委託しているパターンもあるが、大半は個人事務所を設立している。
「いち早く動いた加藤は、『有限会社加藤タクシー』という個人会社を設立。元モデルの妻・緒沢凛さんが代表を務めています。ちなみに、タクシー業務はしていません。ロンブーは、亮を復帰させるために、相方の淳が社長となって『株式会社LONDONBOOTS』を設立しました」(週刊誌記者)
ロンブーのように、不祥事によって会社名をさらす状況に陥ったのは、チュートリアル・徳井義実。19年10月、およそ7年間で約1億2000万円の申告漏れをしていたことがバレて、芸能活動を自粛(21年3月に復帰)。節税対策のために設立していた個人オフィスは、「株式会社チューリップ」だった。
加藤のように、芸人らしくギャグめいた社名を付ける芸人は少なくない。代表格は明石家さんまだ。
「30年以上運営している個人事務所は、『オフィス事務所』。“事務所事務所”です(笑)。ココリコの田中直樹はまるで靴屋さんのように『靴のタナカ』ですが、靴は扱わず。FUJIWARAの藤本敏史は、大のハワイ好きなので“ありがとう”を意味する『株式会社マハロ』。この会社もまたハワイ関連の事業とは無関係です」(前出・週刊誌記者)
ダウンタウンの松本人志も、自宅と別にマンションを借りて個人事務所を運営。平成ノブシコブシ・徳井健太はコンビとして売れだしたおよそ8年前、元妻が代表となってお金を管理するためにオフィスを持った。
飲食店ほか、さまざまなサイドビジネスのほうが儲かっている吉本兼業芸人も社長だ。有名なところでは千原兄弟・千原せいじ、たむらけんじ、ペナルティ・ヒデ、130R・ほんこん、シャンプーハット・てつじなど。緊急事態宣言で飲食業界は軒並み悲鳴をあげているだけに、まだ苦境が続きそうだ。
売れっ子芸人はほぼ、個人事業主でもあるのだ。
(北村ともこ)