健康保険証とマイナカード一体化よりグダグダ「電子処方箋」の無謀計画

 トラブル続きのマイナンバーカード。7月26日には河野太郎デジタル担当大臣が、参院特別委員会で自主返納が増加していることを受け、「重く受け止めねばならない」とした一方で、カードを返納したところで「ひも付け誤りのリスクが軽減されるものではない」と、開き直りとも取れる答弁をした。

 一方で24年秋からの健康保険証の廃止とマイナンバーカードとの一体化では、政府与党内から延期論が強まっているとの報道もあり、推進の制度はだいぶグダグダの様相を増している。

 ところで、マイナンバーカードと保険証の一体化により、電子情報としてこれとひも付けられるものとしてあるのが電子処方箋だが、こちらはもっとグダグダだ。

「電子処方箋が導入されたのが1月26日で、ちょうど半年経ちますが、7月2日段階で導入された医療機関・薬局はわずか2%。導入された直後から現場では、『導入コストが大きい』『マイナンバーカードでの保険証利用患者が少なく、メリットがない』といった声が上がっていて、その問題は5月に行われた厚労省の諮問会議でも課題として指摘されていました」(厚労省担当記者)

 電子処方箋が導入された場合のメリットとしては、医師・薬剤師が処方箋の電子化に同意した患者の3年分の投薬データを確認できるため、薬の重複や飲み合わせの悪い投薬を防ぐことができ、オンライン診療でも活用できるというもの。もちろん患者本人もパソコンやスマホでデータを確認できる。

 一方で課題としては、システムとマイナンバーカードの普及に時間と金がかかることがあって、またデメリットとしては、大規模停電の際に使えなくなるかもしれず、そしてやはり個人情報の漏洩という大きな懸念がある。

「現状は医療機関の現場でのコストの問題と患者を含めての認知やカード普及に問題があって進んでいないわけですが、最終的に電子処方箋が進むには、まずマイナンバーカードへの保険証一体化が進んで実現するわけで、川上の部分のマイナンバーカードにしてこの状況ですから、川下の電子処方箋が進むはずがありません。行程全体が絵に描いた餅になっていますね」(同)

 当初は24年末までにほぼ全ての医療機関・薬局での導入を掲げていたのだが、今となってはよくそんな無謀なことが言えたものだと呆れるしかない状態となっている。

(猫間滋)

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