マイナンバー「5000円給付」でも普及率低迷の根本理由とは?

 マイナンバーカードを申し込み、事前登録したキャッシュレス決済で買い物やチャージをすると、最大5000円ぶんのポイントがもらえる「マイナポイント事業」が、4月末に締め切られるが、3月末時点での交付枚数はおよそ3590万枚で普及率は30%に届かず。このままでは政府が目標とする「あと2年でほぼ全国民取得」は絶望的とみられている。

「マイナポイント事業は昨年9月よりスタートした利用額の25%、最大5000円のポイントが付与される制度で、今年3月末に終了する予定が好評につき1カ月延長されていました。事業がスタートした9月以降からは1595万件のマイナンバーカード申請があったといい、当初の終了予定だった3月には過去最多となる254万件の申請があるなど、事業は普及に大きな役割を果たしたようにも見えますが、結局は普及しきれていない現状なのです」(ITジャーナリスト)

 今後「マイナポイント事業」が終了すれば普及率はさらに鈍化することは間違いなく、同事業の再延長もあるとの見方も出ている。

「マイナンバーカードがここまで普及しないのは、やはりセキュリティの問題が大きいのではないでしょうか。今年2月には立憲民主党の長妻昭副代表がマイナンバー約500万人ぶんが中国で流出した可能性を指摘し、大きな話題となりました。また、3月から導入を予定していた健康保険証として利用するシステムが延期されるなど不具合も発生しており、マイナポイントを入手するためにマイナンバーカードとキャッシュレス決済をひも付けることを不安に思っている人がかなりいるようですね」(ITジャーナリスト)

 ネット上ではいまだにマイナンバーの廃止を求める声も多く見られ、このままでは政府が掲げる22年度末までの全国民取得は間違いなく不可能だろう。

(小林洋三)

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