マイナカードを発行しなくても、すでに全国民に個人番号は割り振られている。それなのに政府はマイナポイントをバラ撒いてまで躍起になるのはなぜか。
「コロナ禍での給付金申請で、マイナカードが普及していれば、あれほどの混乱はなかったという反省もあるにはある。それ以上にマイナンバーで国民の情報を掌握して、総務省が他省庁に対する支配力を強めたいという思惑も見え隠れしている」(政治部デスク)
この省庁間の覇権争いがマイナカードの安全性を脅かしている。ITセキュリティの専門家が言う。
「政府はマイナンバーから情報漏れはないとしていますが、これはインターネットから完全に遮断されたシステムで運用されているためです。しかし、これからは総務省のマイナンバーシステムに国税庁(所得税)、厚労省(健康保険)、警察庁(運転免許証)など、複数の省庁が相乗りすることになる。各省庁が譲り合わなければ、みずほ銀行の二の舞いになります」
みずほ銀行はシステム障害により、金融庁から業務改善命令を受けている。
「第一勧業銀行と富士銀行、日本興業銀行が合併したみずほ銀行は、各銀行が自社システム使用を譲らず、異なる金融システムを複雑に組み合わせることになった。これが相次ぐシステム障害の一因になった。今後は総務省のマイナンバーシステムに、他の省庁がアクセスすることになり、みずほ銀行のように複雑な組み合わせで運用される可能性がある。それでなくとも、新型コロナ接触確認アプリ『COCOA』で大失敗し、おまけに雇用調整助成金受付システムが2カ月以上ダウンした脆弱な厚労省をくっつけるだけでも危険性は高まります」(ITセキュリティ専門家)
安全性も担保できず、全国旅行支援ほどのお得感もないマイナカード、いっそ「マイナスカード」と改称してみてはどうか。
*週刊アサヒ芸能11月10日号掲載