前代未聞!「全局同時放送」が北海道で実現できたワケ

 北海道の命名150周年となる今年、北海道内のテレビ局が合同制作し、全局で同時放送する特別番組の「みんなで道フェス!2019」が2月23日に放送される。同番組にはNHK札幌放送局をはじめ、北海道放送・札幌テレビ・北海道テレビ・北海道文化放送・テレビ北海道の民放5局が参画し、同じ内容の番組をサイマル放送でお届けするという前代未聞の試みとなっている。

 メインパーソナリティーには北海道発のタレントとして随一の知名度を誇る大泉洋、そして札幌よしもとの第一期タレントであるタカアンドトシを起用。道産子の夢応援番組として、北海道の魅力をあらためて広く伝えるという。そんな「みんなで道フェス!」に全国からの注目が集まっているというのだ。テレビ業界関係者が語る。

「いわゆる五大都市圏のテレビ市場のうち、放送エリアが単一の都道府県に収まっているのは札幌だけ。そのため放送内容と視聴者層が完全に合致し、各テレビ局を横断したイベントが開催できるのでしょう。そんな『全局同時放送』では、視聴者がどこにチャンネルを合わせるのか、ザッピングは行うのかなど、貴重なデータを採ることができるはずです」

 東京のキー局では関東広域圏の一都六県、大阪の準キー局では近畿広域圏の二府四県、そして名古屋では愛知・岐阜・三重の中京広域圏が放送エリアとなっている。福岡では福岡県内のみの県域免許となっているものの、佐賀県全域や下関市など山口県西部も事実上の放送エリアとなっており、天気予報では「福岡・山口の天気」として放送することもある。それゆえ北海道内で完結する札幌のテレビ局とは事情が大きく異なるようだ。

■北海道のテレビタレントは道産子ばかり

「そしてもうひとつ見逃せないのは、北海道で活躍するテレビタレントはほとんどが道産子だということ。全国から人が集まる東京はもちろん、大阪も西日本全域から人材が集まりますし、名古屋のテレビ番組には東京や大阪から収録のたびに新幹線通勤するタレントが珍しくありません。そして福岡は九州全域と沖縄から人を集めています。それに対して北海道は基本的に道産子がメイン。大泉洋を擁するチームナックスは北海学園大学の同級生ですし、もともと道外に抵抗なく出ていく道民性ゆえ、現在は東京などで活躍するタレントが今回の番組には多数協力しています。そういった『道民の道民による道民のための番組』を作りやすい地域性ゆえに、企業が札幌をテストマーケティングの場所に選ぶのも納得です」

 それこそ大泉洋の活躍もあり、全国に北海道ファンは少なくない。今回の実験的なサイマル放送もぜひ、他の都府県で観られるようにしてもらいたいものだ。

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