「サンモニ」の原発報道に批判殺到「汚染水と呼ばないで」「風評被害を助長」

 福島第一原発の処理水の海洋放出計画が、今年の夏に向けて本格的に動き始めた。7月2日、公明党の山口那津男代表は福島市で記者団の会見に応じて、「海水浴のシーズンは避けるべき」「風評(被害)を招かないように」との見解を示していたが、この日に放送されたTBS系情報番組「サンデーモーニング」のコメンテーターの発言が物議を醸している。

 番組前半、1週間を振り返るコーナーで、6月26日に処理水を放出するための海底トンネルが完成したことを紹介。司会の関口宏は「東京電力は夏ごろに海洋放出を実施する計画」と説明し、「政府は関係者の理解なしには行わないとしていて、漁業関係者などに根強い反対がある中、理解を得たうえで海洋放水ができるかどうか、となっておりますが…」とピースボート共同代表の畠山澄子氏にコメントを求めるとこう答えた。

「最後の『関係者の理解なしに行わない』っていうのは、ただ言ってるだけでじゃなくて、きちんと文書で約束しているんですよね。『約束破るのはダメじゃないですか』っていうのはひとつあると思ってます。東京電力は汚染水を保管しておくための土地がないって説明していて、もうちょっと詳しく言うと、今は土地あるけど廃止措置が進んでいくと放射性廃棄物も増えてきますし、土地もなくなりますって説明しているんです」

 そのうえで畠山氏は「廃止措置」に関しては未確定の部分が多いとして、大量の燃料デブリの処理に相当な手間と時間を要すると解説し、「放出しようがしまいが、この廃止措置自体がかなり困難な状況」として計画の練り直しを訴えていた。

 関口は「ああ、そうですか」と流していたが、ネット上では《汚染水って言った?》《タンクに保管しているのは処理水じゃなかった?》《番組は訂正しないのか》などと異論が噴出していた。

「汚染水と処理水はまったく異なります。東京電力も福島第一原発の廃炉に関するサイトでしっかりと説明しています。汚染水は『高濃度の放射性物質を含んだ水』を指し、処理水は浄化処理で放射性物質の濃度を低減させてタンクに保管している水のこと。浄化設備では取り除けないトリチウムは残存していますが、海洋放水については国の基準の40分の1にまで下げると説明しています。経済評論家の上念司さんも自身のYouTubeチャンネルでこの発言を取り上げて、『これ、とんでもない話ですよ』としたうえで、処理水が国際基準に沿って放出されると説明し、『汚染水って言い方するってどういうこと?』と憤りをあらわにしていました」(メディア誌ライター)

 前週6月25日放送回は12.9%(関東地区)もの高視聴率をマークし、「教育・教養・実用」部門でトップに立った「サンデーモーニング」。社会的影響力も強いだけに、汚染水発言は尾を引きそうだ。

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