「ヘルプマーク」はフリマサイトでも売っていた…モラルを問われる悪用事例

 当初は東京都独自の取り組みだったが、現在は全国に普及しているヘルプマーク。外見から分かりにくい障害や難病を抱えている人、妊娠初期の女性など配慮やサポートを必要としている人が、周囲に知らせることのできる有用なアイテムだが、それを逆手に取った悪用トラブルが発生しているという。

「最近は鉄道やバスの優先席にもヘルプマークのステッカーが貼られており、広く認知されています。しかし、心身に何も問題がないのにヘルプマークのタグをファッションのように荷物に何枚もジャラジャラ付けて優先席に座ったり、なかには席を譲ってもらう人もいるというのです」(大手紙社会部記者)

 ヘルプマークは各自治体の窓口(福祉課など)や保健所、都道府県の健康福祉センター、一部鉄道会社の駅窓口などで入手可能。しかも、身分証明書の提示は不要のうえ、配布にあたって条件などは特に設けられていない所が多い。

 おまけに発行は無料のため、なかには転売目的で手に入れる者もいるようで、ヤフオクやメルカリなどのフリマサイトには、へルプマークが多数出品されているのだ。
 
 こうした状況に懸念を示すのは、首都圏某市の福祉課職員だ。
 
「基本的に1人1枚まで、申請された方にはすべてお渡ししています。一見、元気そうな若い方も見えられますが、家族の代理でもらいに来られる場合もありますので、私たちに見極める術はありません。実質無条件で入手できるため、何かしらの制限を設けたほうがいいとは思いますが…」

 それだけヘルプマークが社会に浸透してきた証拠とも言えるが、かといって人の善意に付け込むようなこうした行為が見逃されてはならないだろう。これを放置すれば、なによりヘルプマーク自体の社会的信用が損なわれ、結局は、本当に支援やサポートを必要としている人に迷惑がかかってしまうからだ。

 ヘルプマークの不正利用を取り締まる法律や条例はない。問われているのは個人のモラルだ。

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