モータースポーツから撤退も!「曙ブレーキ」が私的整理で事業再生へ

 自動車部品の名門、曙ブレーキ工業(本社=東京都中央区)が1月29日、私的整理の一種である「事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)」の利用を申請したと発表。取引金融機関に借入金の元本の返済を一時停止してもらうよう求め、筆頭株主のトヨタ自動車に増資引き受けなどの支援を打診するとの一部報道もあった(同社はHPで否定)。
 
 1929年創業の曙ブレーキは、85年に米ゼネラル・モーターズ(GM)との折半出資の合弁ブレーキメーカーを設立し、海外進出を果たした自動車部品の最大手だ。
 
「しかし、2015年にリコール問題が発生し、米国事業での資金繰りが大幅に悪化。18年9月末に1083億円あった有利子負債の返済計画が頓挫してしまったんです」(経済アナリスト)

 これにより同社は事業再生ADRの利用を選択したわけだが、前途は多難だ。
 
「同社の荻野好正副社長は、福島県桑折町の製品工場や、いわき市内のテストコースについて地元の新聞の取材に対し『撤退は考えていない』としています。しかし事業再生がうまくいかなかった場合、モータースポーツ事業として展開しているマクラーレンF1チームなどへのブレーキ提供は、コストの関係もあり撤退するのではとも囁かれている。支援を打診するというトヨタも、すでに多くの傘下企業を抱えているだけに先行きは不透明です」(自動車業界関係者)

 エアバック大手のタカタのように、再び中国などの外国資本に買収されれば目も当てられない。

(小島洋三)

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