熱のこもった解説でサッカーの魅力を伝え続ける解説者の松木安太郎氏(65)。日本代表戦ともなれば世界中を飛び回ることも珍しくない体力勝負の仕事だ。常に解説席から元気を届けてくれる元気の源とは?
松木 子供の頃から体を動かすのが好きだったんですよ。物心ついた頃にはサッカーを始めて、読売クラブに入って、現役を引退してからはコーチや監督もやらせてもらって。だから、その頃までは毎日かなり運動量が多かったんです。
─コーチや監督時代もトレーニングをしていた?
松木 はい。ただ、50歳になる少し前ぐらいかな。現場を離れて、運動量がガクンと減ってしまった。それなのに食べる量は変わらないから、ちょっと太ってしまって、これではダメだと走ったり、筋トレをするようになったんです。ところが、選手時代に痛めたヒザや腰、首などが痛むようになって、運動を控えるようにした。でもそうすると、やっぱり、どこか体調がすぐれないわけです。
─子供の頃から50年近く、ずっと体を動かしていたわけですからね。
松木 ええ。それで、どうしようかと思っていた時に出会ったのが水泳でした。スポーツジムに通っているんですけど、もともと水泳専門のクラブだったところで、すごくプールが充実してるんですよ。もう始めて15年以上になります。
─やっぱり、泳ぐことがいいんですか。
松木 いえ、最初は水中ウォーキングです。僕より10も20も年上の先輩方に交じって、ただ水の中を歩くだけ。でも始めてみるとヒザや腰にも痛みが出ないし、何だか調子がいいぞ、ということで、少しずつ泳ぐようになっていきました。
─もともと泳ぎは得意だったんですか。
松木 最初は一生懸命泳いでも疲れるばかりで、なかなか前に進まなかった。でも今では、少ない時で700〜800メートル、多い時で1キロぐらいを時々休みながら1時間か1時間半ぐらいかけて泳ぎます。さすがに毎日は行けませんけど、週3回ぐらいは行くようにしています。
─行く時間などは決めているんですか。
松木 はい、必ず午前中と決めています。午後になると行くのがイヤになってしまうから(笑)。なるべく早く起きて、午前中に泳ぎ終えるのが僕のルーティーン。頭がスッキリして、午後からの仕事にも集中して臨めるような気がします。
─学生時代、水泳の授業のあとはグッタリしていたことを思い出します。
松木 確かにそうかもしれませんね。でも、水泳を始めてよかったのは、頭がスッキリすることと、食事がおいしいこと。僕も最初は泳ぐとグッタリして、頭がスッキリするなんて感覚はありませんでしたけど、泳ぎが上達するに連れて実感できるようになると思います。そうすると、また泳ぐのが楽しくなってきますから、ぜひ、皆さんもトライしてほしいですね。
─他に健康維持のために何か心がけていることは?
松木 元気の秘訣は「頭がスッキリしている」「体が疲れていない」「何か楽しみがある」の3つだと思うんです。楽しみがあればストレスもたまりませんからね。僕の楽しみはゴルフと毎日の晩酌。最近はあまり無理しないようにしていますが、以前はゴルフに行く日は朝4時に起きて、打ちっぱなしで200球ぐらい打ってから行ってました。
─晩酌のほうは?
松木 今は日本酒の熱燗にハマってます。温かいほうがおなかに優しいだろうと(笑)。晩酌でその日のストレスを翌日に残さない。それも僕の健康法です。
松木安太郎(まつき・やすたろう)1957年、東京都生まれ。読売クラブに所属し、76年に日本サッカーリーグデビュー。現役引退後はヴェルディ川崎、セレッソ大阪、東京ヴェルディで監督を務めた。現在はサッカー解説者として活躍中。