「戦力外→育成選手→1軍4番」苦労人・ロッテ茶谷健太は他球団ファンも思わず応援!

 連日「日替わり打線」で戦っている今季の千葉ロッテ。これまでシーズン39試合で、39通りの打順(5月21日時点)だ。ファンも慣れてしまったのか、試合前にスターティングメンバーが発表されると、「いつものこと」と淡々と受け止めていた。

 ところが、36試合目には驚きの声が挙がり、37試合目はエールの拍手が送られた。

「36、37試合目に茶谷健太が4番に入ったのです。ファンもビックリしていましたが、茶谷自身も、4番はプロに入って初めてのはずです」(スポーツ紙記者)

「4番茶谷」は、37試合目こそ5打数ノーヒットだったが、36試合目の先制打を含む2安打の活躍を見せ、球場を沸かせた。

 ところで、4番茶谷を応援するのは、実はロッテファンだけではない。他球団のファンの中にも、茶谷の活躍を望んでいる者は少なくないのだ。理由は彼の「経歴」にあった。

「茶谷は、2015年のドラフト会議でソフトバンクに4位指名され、17年に1軍デビューしています。18年は2軍に甘んじていましたが、この年、ソフトバンクは日本一になりました。ところが、日本一を決めたわずか20分後に戦力外通達を受けたのです。育成での再スタートも打診されましたようですが、本人は環境を変えたいと思ったようで、ロッテに育成選手で拾われましたね」(福岡の地元メディア)

 ロッテでその才能が開花したのは22年シーズン中盤。これまで、何度もチャンスを掴みかけたが、ケガやコロナに泣かされ、遠回りをしてきた。そうして、ついに4番に抜擢されたのである。その際、吉井理人監督は、「ずっとコーチ陣に反対されてきたが、ようやく実現できた」と語ったものだった。

「茶谷が4番に入ったのは17日。前日4番を務めた井上晴哉が3打数ノーヒットで、8回には代打を送られています。17日の試合前、打順編成の話し合いをしていたときは『4番茶谷』を誰も反対しませんでした」(球団関係者)

 吉井監督の「反対された」「ようやく」発言はユーモアであり、茶谷が積み上げてきた努力を首脳陣も認めていたということだろう。

 38、39試合目はスタメンから外れたが、「4番茶谷」が誕生した日、チームも4月29日以来の首位に返り咲いた。戦力外からV争いチームの4番まで這い上がった茶谷。こうした苦労人の姿が、ロッテファンだけでなく、多くの野球ファンの心を掴むのかもしれない。

(飯山満/スポーツライター)

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