場末感たっぷりのピンク店内で、男の下半身に除菌スプレーをかける女。手慣れた様子で顔を埋めると、淫靡な音を店内に響かせる。
感極まった男が、女の後頭部をグッと押さえながら果てると、
「おめでとうございま〜す」
女は下半身に向かって祝福するのだった─。
この熱演を見せたのは、映画「茜色に焼かれる」(21年、フィルムランド)で主演を務めた尾野真千子。あまりにリアルすぎる性描写に尾谷氏は、
「カンヌにはないかもしれませんが、音を立てた口戯シーンに音響芸術賞をあげたい」
と、大絶賛だ。
そして、艶場面には続きがあった。物語の後半で自身11年ぶりの完脱ぎを披露したのだ。かねてから尾野の大ファンだというコトブキ氏がコーフン気味に評する。
「ベッドで男にシーツを剥がされてバストのトップがこぼれる。大きすぎるわけではなく、奥ゆかしさがあって、昭和のエロチシズムを感じました。例えれば、民宿の朝ごはんみたいな。3年間食べ続けても飽きないような心地よさがあるんです」
トレーニングで鍛えたボディがもてはやされる時代に、ぽちゃっと肉づきのよいボディは一石を投じることとなったようだ。
一方、村西とおる監督の半生を描いたドラマ「全裸監督」シリーズ(19年・21年、Netflix)で強烈な爪痕を残したのは、黒木香役に抜擢された森田望智と、乃木真梨子役の恒松祐里だ。
著名な艶系女優を演じるということで激しい濡れ場を随所に見せ、「体当たり」という言葉がぴったりの出来栄えとなった。
「キャスティングのうまさも目立った作品です。当時の艶系女優には森田や恒松と似たようなスレンダーで美胸の女優が多かったので、本物の作品を見ているようで懐かしかった。彼女たちも出演する前はどんな内容になるかわかっていなかったと思うんです。どこか怪しさを感じながらも思い切って体当たりで挑戦。その度胸は称賛に値するし、脱ぎ損にならず、2人ともNHK朝ドラ『おかえりモネ』(21年)で堂々たる演技を見せました」(尾谷氏)
令和に脱いだ女優の中で、ルックスなら恒松を一番の正統派として挙げたコトブキ氏ももろ手を上げ、
「シーズン2は、彼女が主演と言っても過言じゃないくらい存在感を放っていました。ベッドシーンも新人の初々しさから、だんだん慣れてきて積極的に自らの性を解放し、快楽を求めて奔放になる様子が垣間見え、女優としての幅が広がったと思いました」
全裸監督シリーズは、増田有華や冨手麻妙らも次々とすべてをさらけ出している。令和の若手女優も、脱げることを証明する形になった。
(つづく)