日テレVSテレ朝「視聴率三冠王」はどっち?両者が「勝ち名乗り」をあげる業界のナゾ

 2022年度の在京民放局の年間視聴率が4月3日に発表された。日本テレビが12年連続の視聴率三冠王を獲得したと言えば、テレビ朝日は1959年開局以来、初の三冠王を達成したと宣言。高視聴率番組を持てば持つほどスポンサーは鈴なり、実入りがよくなることから、三冠王が2つも生まれる事態になっている。

 放送記者が謎解きをする。

「視聴率には、世帯視聴率と個人視聴率があります。テレビ朝日が初の三冠王を獲得したのは世帯視聴率で、全日(午前6時〜翌日午前0時)6.6%、ゴールデンタイム(午後7時〜10時)9.5%、プライムタイム(午後7〜11時)9.6%でした。その内訳は、全日が2年連続開局以来2回目、ゴールデンが10年ぶり開局以来2回目、プライムが3年連続開局以来5回目の1位。日本テレビの12年連続三冠王は、個人視聴率で、全日3.7%、ゴールデン5.9%、プライム5.5%。ただし、テレ朝によると、全日3.6%、プライム5.6%で個人視聴率でも二冠に輝いたとしています。同率1位でもないのになぜかというと、実は数字のマジックがあるんです」

 テレ朝は、2022年4月4日〜23年4月2日の2022年度。同局では「報道ステーション」や「羽鳥慎一モーニングショー」が他局を寄せ付けない高視聴率を稼ぎ、連続ドラマも2ケタ視聴率を連発するなど、高い人気を誇っている。バラエティも「ザワつく!金曜日」「ナニコレ珍百景」「ポツンと一軒家」などがファミリー層にウケており、サッカーW杯やワールド・ベースボール・クラシックの中継も高視聴率を連発した。そのため、個人視聴率も開局以来初の二冠となった。

 一方で日本テレビが発表したのは、2022年の年間視聴率。期間はズレており、2022年1月3〜23年1月1日になる。同じ土俵ではないので、おのおのが勝ち名乗りをあげたという次第だ。

「昔に比べて勢いがなくなったのが日本テレビ。連ドラもバラエティ番組も大ヒットに恵まれず、ゴールデンで系列局(中京テレビ)の番組(「ヒューマングルメンタリーオモウマい店」)を流すなど、昔では考えられない話。しかし、三冠王は営業対策上必須条件。ただでさえ番組制作費が少ないのにそのうえ営業収入減となれば、現場の士気は下がるばかり。だから個人視聴率の高さでそろばんを弾くしかありません」(民放番組関係者)

 4月3日にスタートした情報番組「DayDay.」(月〜金曜午前9時・日本テレビ系)の平均視聴率は第1部(午前9時〜10時25分)が5.0%(世帯)、2.6%(個人)、第2部(午前10時25分〜11時10分)は3.5%(世帯)、1.8%(個人)と低空発進。17年続いた「スッキリ」を終了させてはみたものの、視聴率的には厳しそうだ。この先の展開が大いに気になる。

(塩勢知央)

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