奈良県知事選惨敗の“戦犯”高市早苗氏の二の舞か「負けたら世耕のせい」の声出る衆院和歌山補選

 4月9日に投開票があった統一地方選挙前半では、高市早苗経済安全保障担当大臣の地元、奈良県の知事選挙で保守の候補者が分裂。結果、日本維新の会の候補者が当選して、大阪以外の県で初の維新公認知事が誕生するというサプライズがあった。

「高市大臣と言えば、直前には放送法を巡る『捏造』発言問題で渦中にあった人物。そもそも保守分裂になったのは、周囲の反対をよそに自らの秘書官だった総務省出身の平木省氏を候補として担ぎだしたからなのですが、結果的に維新候補に知事の座をかっさらわれて“戦犯”扱い。応援に行かなかったことを問われると『今や世の中では悪人扱いですので』と自嘲したり、あるいは直前には高熱を出していたなどと苦しい言い訳に終始しています」(全国紙記者)

 高市大臣は最大の後ろ盾だった安倍元首相を失って迷走しているのは明らかで、だから今回の敗戦に関してはかつての安倍応援団がSNSなどで「高市潰しがあった」と騒がしく主張しているが、一般の有権者にしてみればどうでもいい話だ。

 統一地方選挙の後半戦は23日投開票で、衆参両院で5つの補欠選挙も併せて行われる。ここを5勝全勝、最低でも3勝2敗で越えられたら岸田政権は広島サミット後に解散総選挙に打って出て……といった観測が広がるような大事な選挙戦になる。だが、前半で高市大臣がババを引いたように、後半戦では清話会の安倍直系の有力議員である世耕弘成参院幹事長が同じような立場で吊し上げに遭うかもしれないとの見立てが出ている。

「世耕さんの地元・和歌山県は、次の総選挙では議員定数の10増10減で議席が1つ減らされる。そこで次の議席を守りつつやがては息子に継がせたい二階俊博元自民党幹事長と、将来の首相としての道を開くために参院から衆院に鞍替えしたい世耕さんがバッティングして内輪揉めに終始していることはあまりにも有名。昨年11月に行われた県知事選挙では、自民党にすり寄る国民民主の候補擁立に二階さんが動いて、世耕さんサイドは自民党の独自候補を擁立できずに不戦敗に終わりました。そして今度の補選も自民党公認候補者選びで大揉めに揉めた結果、二階さんが推す候補者が退けられて、世耕さんサイドが推す門博文元衆院議員が立つということで二階さんは完全にやる気を失っているとか。そこを突いて維新公認の林佑美前和歌山市議が選挙前からかなり追い上げているということなので、奈良県の二の舞となって、負ければ世耕さんの責任論が浮上しかねない様相となっています」(同)

 こちらも、だいぶ揉めている安倍前首相亡き後の安倍派のトップ争いに大きく影響し、単なる補選での勝敗以上に大きな意味を持つ選挙戦として注目されている。

(猫間滋)

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