「ABEMAはもはや神」の声も…スポーツ中継の「脱テレビ化」が加速

 昨年のサッカーW杯ではABEMAが全試合無料配信を行って、衰退する一方のテレビ局をよそに大きな存在感を示したが、野球のWBCの強化試合、そしてW杯後初の代表戦でも無料配信を行って、SNSでは「もはや神」といった声が上がっている。

「野球のWBCでは本大会こそTBSとテレビ朝日が日本戦の半分ずつとJSPORTSが中継を行い、ネットではAmazonプライムが配信しましたが、ABEMAは本大会前の対ソフトバンク、中日、阪神の強化試合3試合を無料配信しました。特に3月3日の中日戦は、WBCで1回も負けなかった侍ジャパンが唯一負けた試合となったので、結果として貴重な試合となりました。またキャンプ初日の2月17日は午前10時から午後3時まで、オリジナルのマルチアングル映像で中継。じつはキャンプ地の宮崎はスポーツ合宿の聖地でありながら、民放がテレビ宮崎(MRT)と宮崎放送(UMK)の2局しかない“テレビの陸の孤島”として知られています。そしてMRTはTBS系列なのでWBCの本戦を見られましたが、UMKはフジテレビ系列なのでテレビ朝日中継分の試合は見られず、リアルタイムで決勝を見られたのもケーブルテレビに加入して鹿児島放送(KKB)を視聴できる世帯に限られていたのです」(スポーツライター)

 そしてサッカーでは、W杯後初の代表戦となったキリンチャレンジカップ2023の初戦、3月24日のウルグアイ戦をABEMAが生配信している。

「ウルグアイ戦の中継では、W杯でも好評だったベンチの中が見える『ベンチカメラ』や色々な角度から試合を見ることができる『マルチアングル映像』がそのまま採用されていました」(同)

 だからSNSでは前述のような「ABEMAさん神すぎ」といった声があり、AMEBAやアマプラの無料配信により「もうテレビいらんやん」と地上波不要論も浮上した。しかもABEMAが中継すれば、うっかりと放送を見逃してしまっても「見逃し配信」でしばらくはフルの試合を視聴することができる。

 またABEMAでは、全部無料というわけにはいかないが、侍ジャパン戦士が活躍する大リーグの試合、また、サッカー日本代表選手が多いドイツのブンデスリーガ、クラブレベル最高峰のイングランド・プレミアリーグの試合も見られる。と、特にABEMAが存在感を増しつつあり、いよいよスポーツ中継は「脱テレビ」になりつつある。

(猫間滋)

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