佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」コロナで下がった「旅行関係株」がどっと戻りそう

 毎日のお仕事ご苦労様です。汗を流して働くほとんどの日本人にとって、この3年はコロナで仕事が大きく減り、ロシアのウクライナ侵攻で物価も上がり、トドメは中国に対抗するため防衛費の増額で増税する、と金のことで苦労ばかり。

 そんな中で株価を見ていると驚くようなこともある。例えば米中対立などで海上輸送のタンカーの需要が増加し、値引きがなくなった。そのため海運株の商船三井などは爆上げ。世界的なインフレ、食料、資源やエネルギー需給の逼迫では商社が大儲け。三菱商事などは円安の追い風もあり何と1兆円の純利益を計上。

 また、アベノミクスで10年ほど続いた異次元の金融緩和に変化が出て、銀行株は年末から1月にかけてロケットのように上がった。三菱UFJ、三井住友、みずほの株で大儲けした投資家は多い。

 しかし、株なら何でもいいのかというとそうでもない。東京証券取引所の大企業が取引されるプライム市場の会社の半数が「PBR(株価純資産倍率)1倍割れ」と日経新聞が報じていた。これは今、会社を解散して株主に分けたら、株価と比べて損になるか得になるかってこと。わかりやすく言うと、1株1000円の価値のある会社の株が、現在でも1000円以下の株価で取引されている。そんな会社が半分以上あるというわけで、長期的には買い時なのかもしれない。まあ、ひとつの数字だけどね。

 PBRが1倍以下の会社で最近、私が買ったのがヤマダホールディングス(9831)だ。おなじみヤマダ電機は住宅メーカーなども傘下に収めている。2月10日現在は100株465円前後で売買されていて、PBRは0.59、配当利回りは4.73%と配当金もいい。株主優待は1000円以上で使える500円の割引券を年3枚もらえる。100株で4万6500円。少額で投資できる気軽さも買った理由だ。

 3年目のコロナの間、家電業界にとって1年目は巣ごもり需要で売り上げはよく、一時は600円まで到達した。それが一巡し、今はインフレ懸念で売り上げが鈍化。株価は400円前後まで落ちたあと、持ち直してきたという状況だ。まあ、さらに下がったらさらに買いを入れるつもりだ。

 前回の記事で「コロナ出遅れ株」に注目と書いたが、どんな銘柄に買いを入れたかというと、日本航空(9201)だ。コロナ前には3500円〜4000円ほどだったものがコロナで大幅下落。週刊現代(20年4月11日号)で注目株として紹介した頃は1800円前後、その後も低迷し、瞬間的には1600円ほどまで下がった。

 しかし、GoToキャンペーンから少しずつ顧客は戻り、株価も戻して2600円前後。やや戻したけれども道なかばと判断した。国内線は顧客が戻りつつあるが、国際線はまだまだだ。

 さらに、ビジネス利用も多い中国路線は政府からの要請もあり、特に出遅れている。ウクライナ情勢で燃料代が高いのも逆風だが、2月に入り、3期ぶりに再び配当金を支払うと発表された。コロナ前は年間1800万人も海外旅行を楽しんでた日本人が3年間も控えていたのだ。正常化されれば、どっと利用客数が戻ることも予想される。

 それと同じように注目したのが、海外旅行が得意のはずの旅行会社エイチ・アイ・エス(9603)だ。長年の重荷だった長崎のテーマパーク、ハウステンボスを売却。コロナ禍が長期化しそうと見込んだタイミングで店舗も多く閉め、国内旅行でしのいできた。正常化すれば大活躍するはず。

 2月10日現在で2020円程度。コロナ前は株価4000円前後で売買されていたから今は半値と見込んだ。

 2週にわたって私が興味を持ち、最近買った株について書いたが、株式投資は元本割れの可能性も高い。自分で判断し、余裕資金で行ってほしい。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活動中。著書「おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方」(ぱる出版)ほか多数。

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