では、「2強」についてはどうか。小島伸幸氏の見立てはこうだ。
「2チームともに昨季からの戦力の流失が大きい。ただ両者は確固たるプレースタイルを持つチーム。毎年、誰かが海外移籍しても、常にうまくやってきました。特に横浜FMは、近年ターンオーバー制で戦ってきたこともあり、チーム力が向上しています。本命の広島に対して、対抗横浜FM、次いで川崎と予想します」
これに対するワッキーの見解を聞こう。
「特にキーマンになる選手が抜けてしまった印象です。横浜FMは、2年連続2ケタ得点のレオ・セアラ(28)がセレッソ大阪(C大阪)に、去年のJリーグMVPの岩田智輝(25)がスコットランドのセルティックに移籍。川崎もキャプテンの谷口彰悟(31)がカタールリーグに行きました。2強は優勝候補3番手グループ、という感じです。東京の対抗は広島ですね」
小島氏同様、ワッキーも広島を高く評価しているというのだ。
「佐々木、塩谷司(34)、荒木隼人(26)の3CB(センターバック)は、リーグでも屈指のパフォーマンス。ダブルボランチの川村拓夢(23)と野津田岳人(28)も頼もしい。2人ともロングレンジからのバズーカシュートを持っていて、川村は昨季の年間ベストゴールに選ばれた60メートルロングシュートでも話題になりました」(ワッキー)
小島氏はさらに優勝争いの「大穴チーム」に、C大阪、名古屋グランパスエイト(名古屋)、ガンバ大阪(G大阪)を挙げる。
「C大阪はレオ・セアラやアビスパ福岡の中心選手だったクルークス(29)を、名古屋は得点力不足解消に浦和レッズからユンカー(28)をそれぞれ的確に補強しました。G大阪は湘南ベルマーレからGKの谷晃生(22)をレンタルバック。絶対的守護神の東口順昭(36)との『新旧代表GK争い』は、他のポジションのレギュラー競争にも拍車をかけるのでは。チームが活性化することで古豪の復活もあるかもしれません」
反論するワッキーは、今季J1復帰の横浜FCを推す。
「FWの小川航基(25)は世代別の日本代表選出経験もありながら、なかなかブレイクしきれなかった。でも去年はシーズン26得点で得点王になり、J1昇格の原動力になりました。サッカーって、好調な選手のところにボールがよく転がってくるスポーツなんですよ。今の調子ならJ1でもやってくれるんじゃないかと思います。横浜FCの四方田修平監督は同い年で、高校時代にライバルの習志野高の選手だった、僕もよく知る監督。そういう縁もあるので、応援したいですね」
2月17日に行われた、今シーズンを占う開幕戦では、ディフェンディングチャンピオンの横浜FMが昨年代表デビューのFW・西村拓真(26)らのゴールで2─1と川崎を寄せつけず、「2強対決」を制した。この常勝2チームを下し、大波乱を巻き起こすのは、どのチームなのか─。