昨年から今年1月にかけて各地で発生した通称「ルフィ強盗団」。警視庁は今月7日と9日、実行犯へ指示した疑いのある日本人容疑者4名がフィリピンから強制送還となり、機内で逮捕されたが、もともとは同国で活動していた特殊詐欺グループ。しかも、タイにも拠点があったことが報じられている。
この両国は以前から潜伏先として人気だったが、近年ではこうした特殊詐欺などの犯罪グループがアジトを置くようになった。実は、彼らがフィリピンとタイに集中するのには理由がある。
「まずは入国のしやすさですね。米国は犯罪歴があるとビザが必要で、申請しても通る可能性は低い。カナダやオーストラリアも電子渡航認証システムで前科に関する質問があり、弾かれる可能性が高いです。EUもこのシステムを11月から導入予定で今後は厳しくなるかもしれません。でも、アジア諸国では導入されておらず、フィリピンとタイも入国可能です」(実話誌記者)
さらに両国とも日本から近く、在留邦人や旅行者の数も多い。また、顔立ちの似た中国系や韓国系の住民も多いため、現地に溶け込みやすいといった利点もあるそうだ。
「SIMフリーのスマホが当たり前なので飛ばしケータイも簡単に手に入るし、家だって簡単に借りられます。あと、物価の安さや日本食レストランの多さなども魅力のようです」(前出・記者)
ただし、今回の連続強盗団もそうだが、最近は海外でも検挙されるケースが増えている。逮捕された4容疑者は19年にフィリピン当局に身柄を拘束されているが、このとき一緒に検挙された特殊詐欺グループのメンバーは彼らを含めて36名にも及ぶ。
一方、タイでも特殊詐欺グループの摘発が相次ぎ、19年以降は首都バンコクやリゾート地のパタヤで毎年のように日本人の特殊詐欺グループが逮捕されている。
海外に逃亡したからといって、犯罪者たちが考えているほど甘くはない。