6日未明にトルコ南部を襲ったマグニチュード7.8の地震の被害は甚大で、8日に発表された死者数は1万1000人を超えている。現在も懸命な救助活動が続いているが、これを中継した8日放送の報道番組「報道ステーション」(テレビ朝日系)の取材クルーが、現地の救助隊から注意を受けてしまった。
同番組は「死者1万人超 “72時間”迫る」とテロップを出し、現地から被害状況を詳報。この“72時間”とは、災害に巻き込まれた人間が生死を分けるターニングポイントの時間と言われている。震災発生時から救出されるまでに、72時間が経過してしまうと、生存率が著しく低下するとされているからだ。
番組では震源近くの都市・ガジアンテップに中継を繋いだ。“72時間”のリミットが迫る現場を取材するテレ朝記者。8階建てのマンションがあったという場所は、瓦礫の山となっている。記者は「ちょうど1時間前なんですけど、あの瓦礫の上で救出作業をしているスタッフからですね、(救助を待つ被災者から)何らかの生存反応があったようで、拍手や歓声があがるシーンがありました」と、リポート。瓦礫の下の被災者のわずかな声を頼りに、救助活動が行われている状況を生々しく伝えた。
その後も記者はマイクを片手に現地の気温などについてリポートするのだが、ここで激しい叱責の声が飛んだ。被災者の生存反応を聞き逃さまいとする救助隊のスタッフから「静かにして」という意味の怒号があがったのだ。
これに記者は「今ですね、『静かにしてください』という声が、かかりました。すいません、ちょっと声を下げて伝えます」と、ヒソヒソ声レベルに声量を下げてリポートを続行。報告が一段落したところで、スタジオの小木逸平アナは「生存している方の声を聞き取るために、現場では何度も静かにしてくださいという呼びかけが行われているということですね」と状況をフォローし、中継は打ち切りになるかと思いきや、まだまだ中継は続く。小木アナは「もう一言だけ、各国の支援の状況は確認できますか?」と、質問を投げかけ、ヒソヒソ声でのリポートを続けさせたのだ。
これに視聴者からは《「もう一言だけ」じゃなくて中継切りなよ》《どうでもいい質問よりも目の前の命を優先してくれ…》《スタジオ側が続行の空気出しててキツイ》《誰もスタッフ止めないなんて信じられない》《救助活動を邪魔する日本メディア…見ていて恥ずかしい》《外国メディアは中継ストップしてるの明らかなのに空気読めないのか》と、非難轟々のコメントがあがっている。
注意を受けてもなお、中継を止めなかったのは番組進行の事情だろうか。ヒソヒソ声でのリポートは大きな疑問をのこしてしまった。
(浜野ふみ)