改名で一発逆転を狙うタレントは少なくない。お笑い界史上もっとも成功したのは、さまぁ〜ず(前・バカルディ)とくりぃむしちゅー(前・海砂利水魚)だろう。
この2組は、2000年に放送された「新ウンナンの気分は上々。」(TBS系)で、ウッチャンナンチャン・内村光良の発案により、改名をかけて対決することになった。先に陸上競技対決で敗北したのはバカルディで、「さまぁ〜ず」に改名することに。その後、ビーチバレー対決で敗れた海砂利水魚が「くりぃむしちゅー」に名を改めたのだった。
2組とも当初は期限つきの改名だったが、その芸名でいるうちにどんどんと売れっ子になってしまう。結局、2組ともそのままの芸名で今日まで至るのだ。内村の発案によって改名を余儀なくされた2組が、そろってメインの冠番組を持つまでになったのだった。
内村と同世代のダウンタウンの場合は、1人の芸人の名前を命名している。それがヨネダ2000(愛、誠)の誠だ。
結成2年の昨年5月に「ダウンタウンDX」(日本テレビ系)に初出演。当時誠は本名の清水亜真音で活動しており、「この機会にダウンタウンさんに芸名を考えていただければなと」と、直接オーダーした。
同じゲスト席に山之内すずがおり、直前に「広瀬すずさんとかぶってるみたいなのもあって」と体験談を話していたため、松本人志は誠に、「じゃあ、すずで」とウケ狙いで即答。とはいえ、続けて、相方が愛であることから、「誠でええやん」と、70年代に大ヒットした漫画「愛と誠」になぞって提示した。さらに「恋」も加えて3つを候補に挙げ、最終決定権を浜田雅功にゆだねた。すると、「(髪形を)ショートにしてるし、ちょっと男の子っぽいから誠でええんちゃう」と答えたことで新たな芸名が決定したのだ。
その後、ヨネダ2000は、この年の年末に行われた女芸人NO1決定戦「THE W 2022」の決勝戦と、漫才頂上決戦「M-1グランプリ 2022」の準決勝にダブルで初進出した。ダウンタウンの悪ノリで決まった芸名で、とんとん拍子でシンデレラストーリーを歩むこととなったのである。
「同じく、番組発で相方が改名したのはダイアンのユースケ。本名の西澤裕介で活動していた19年、先輩の千鳥のレギュラー番組『いろはに千鳥』(テレビ埼玉)に出演した際、占い師から改名を勧められました。乗り気ではなかったのですが、トークライブで半ば強制的に改名を発表すると、東京での仕事が右肩上がりに増えました」(芸能ライター)
今や、コンビ芸人ではトップクラスのレギュラー本数を抱えるかまいたちも、09年に漢字表記の「鎌鼬」から変更している。その後に活動拠点を関西から関東に移すと、「キングオブコント 2017」で優勝、「M-1グランプリ 2019」で準優勝。21年には「第56回上方漫才大賞」で大賞を獲った。
開運につながることもある改名。今年も、大きな決断(否、その場のノリ!?)で改名する芸人は現れるか。
(北村ともこ)