今年で30周年を迎えるJリーグは、2月11日の「FUJIFILM SUPER CUP」でスタートする。
この30年間を振り返ると、Jリーグは日本のスポーツ界に大きな変化をもたらした。
Jリーグが誕生した理由のひとつは、日本サッカーを強くするにはプロ化しかないということだった。30年経った今、日本サッカーは大きくレベルアップし、日本代表がW杯に出場するのが当たり前になった。
そしてもうひとつは地域密着の「ホームタウン」作り。それはJリーグ誕生の3年後に「100年構想」とし、「ホームタウン制」を再宣言した。Jリーグはサッカーのプロ化だけではなく、スポーツを通じて地域を活性化させ、豊かな街作りに繋げるというものだ。
それまでの日本のスポーツはほとんどがアマチュアで、親会社の広告塔だった。ところがJリーグは、ひとつの企業に頼らず、地元の幅広い企業からのスポンサー収入、入場料収入、グッズの売り上げなどでクラブの運営をし、親会社から独立する形をとった。
世間を驚かせたのは、チーム名から企業名を外し地域名を入れるという方針だった。それに対し「企業名を入れないで、スポンサーが集まるのか」「考えられない」など批判的な声も上がった。しかし、Jリーグの考えは、あくまでも地域密着型のクラブ運営で、企業を応援するのではなく、地域のクラブチームを応援することを大切にした。
30年経った今、プロバスケットボールのBリーグも企業名を外し地域名を入れている。そのほかにも企業名は入っているが地域名も入れるリーグは増えている。「地域密着」という言葉は日本のスポーツ界に定着している。来年開幕予定のハンドボールのプロリーグも地域密着型を理念に置いている。
何かと比較されてきたプロ野球も、パ・リーグを中心に北海道、東北、埼玉、千葉、横浜、福岡などチーム名に地域名が入るようになった。
Jリーグはこの30年間で日本のスポーツ界の常識を覆してきた。ただ、必ずしも順調に来ているとは思えない。
チーム数は60チームまで膨れ上がった。国民の認知度も高くなった。ただ毎年、多くの選手が海外に移籍していく。それだけJリーグに魅力を感じないのか。日本のサッカー選手で注目されるのは欧州でプレーする選手ばかりだ。
Jリーグをもっと魅力的で、多くの人が注目するようにするにはどうするべきか。そこは、これからの大きな課題だ。
(渡辺達也)
1957年生まれ。カテゴリーを問わず幅広く取材を行い、過去6回のワールドカップを取材。そのほか、ワールドカップアジア予選、アジアカップなど数多くの大会を取材してきた。